<巨人7-1中日>◇11日◇東京ドーム

 巨人が「サカマツ」の大暴れで首位攻防戦を勝ち越し、セ・リーグ10勝一番乗りで今季初の単独首位に立った。1番坂本勇人内野手(21)が2安打1打点1得点、2番松本哲也外野手(25)が3安打3得点。ともに得点に絡む盗塁も1つずつ決め、オープン戦で11イニング無得点と完ぺきに抑えられていた中日先発伊藤を、鮮やかに攻略した。開幕から好調をキープする2人の活躍が、V大本命の巨人を波に乗せた。

 19歳にやられっぱなしでいるわけにはいかない。伊藤攻略の口火を切ったのは2番松本だった。1点を先制されて迎えた1回裏の攻撃。先頭の坂本があっさりと3球三振に倒れた。ベンチに嫌なムードが漂う中、松本は冷静だった。低めのボール球にバットはぴくりとも動かない。獲物を狙うような鋭い視線で好球を待った。4球目。高めに浮いた直球を迷わずスイングし、左前に運んだ。

 オープン戦では伊藤相手に11イニングで3安打。出塁すらままならない状態だった。逆に言えば、セットポジションで投げさせる状況を作れば、攻略の糸口はある。松本は「チャンスがあれば、いつでも行こうと走る準備はしていた」と、3番小笠原の初球に絶好のスタートを切って二盗を決めた。これが、立ち上がりに難のある伊藤を動揺させ、この回、長野の押し出し四球で同点に追いついた。

 試合前、スコアラーによるミーティング後に、松本らは居残りでビデオを見て、伊藤の球筋やけん制を目に焼き付けてから試合に臨んだ。「準備がしっかりできていた」と胸を張る松本の積極プレーが“相棒”坂本への「お手本」となった。続く2回、坂本は2死から高めの甘い直球をたたいて中前打で出塁。直後の初球に二盗を決めた。松本が右前打でつなぎ、小笠原の適時二塁打で勝ち越しの2点が入った。坂本は「(二盗は)積極的にパッとスタートが切れた」と満足げに振り返った。

 リーグ首位打者の松本も、14試合連続安打の坂本も、開幕からノーヒットに終わったのは1試合だけ。不安の残る投手陣をカバーする1、2番の好調ぶりに、原監督は「1球1打席、いい集中力の中で戦っていますね。(伊藤は)セットポジションがあまり上手じゃないという部分があった。その辺をうまく突くことができた」と目を細めた。ライバル中日にも完勝して4カード連続の勝ち越し。巨人が開幕15試合目にして早くも指定席にどっかりと腰を下ろした。【広瀬雷太】

 [2010年4月12日9時5分

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