<中日4-9横浜>◇14日◇ナゴヤドーム

 横浜尾花高夫監督(52)の思い切った決断が、14安打9得点の猛攻を生んだ。中日先発は左腕の小笠原。右打者を並べるのがセオリーだが、ふたを開けてみればスタメンには5人の左打者。一見すると奇策だが、「左打者の方がシンカーを投げにくい。数字を見ても左の方がいい」(尾花監督)とデータに基づく自信の一手だった。

 小笠原の決め球シンカーは、右打者のは外に沈む。両打ちも含めれば先発に6人の右打者を並べた前回7日の対戦では、7回3安打無得点と、攻略の糸口すらつかめなかった。この日、尾花監督は「打撃の調子がいい」と、2番に左の藤田を抜てきした。藤田は、7日に小笠原から安打を放った数少ない打者。7番には「左でも打てる」と、昨季の対戦で小笠原に5打数2安打と相性のいい下園を起用した。1、2番に石川、藤田を並べるため、内野手のカスティーヨを初めて右翼に入れるリスクを負うことになったが、それでも左打者を使いたかった。

 左腕のシンカーは、左打者のインコースへ投げ込むため、わずかなコントロールミスが命取りとなる。横浜の左打線に小笠原は持ち球を1つ減らされた。2発と大当たりのスレッジは「谷繁さんはいい捕手なので配球を読むのが難しい。難しく考えずに打席に入ったのがよかった」と振り返る。1発目は直球、2発目はスライダーを運んだが、シンカーがないのであれば狙いも絞りやすい。まさに「アナライジング・ベースボール(分析野球)」でつかんだ1勝だった。【鈴木良一】

 [2010年4月15日8時11分

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