<広島4-3中日>◇16日◇マツダスタジアム

 広島前田智徳外野手(38)が16年ぶりの歓喜のサヨナラ打を放った。9回1死満塁。土壇場で代打に指名された。中日浅尾の変化球をとらえ、高く弾んだゴロは中前へ。ナインから祝福の水をかけられ、劇的なフィナーレを飾った。

 粘りの打席だった。1球目151キロ速球をファウル。2球目のフォークに空を切る。「適当に破れかぶれで振りました」。言葉とは裏腹に続く3球目のフォークをきっちり仕留め、チームを勝利に導いた。お立ち台で、かすかに笑った。「何とかしたい気持ちだけだった。バットの当たるところに落ちてくれて良かった。ホッとしています」。自身のサヨナラ打は94年6月9日(阪神戦)以来、実に5790日ぶりだった。

 昨季は下半身の故障が相次ぎ、プロ入り初めて実戦出場できなかった。背水の今季は「代打の切り札」として控える。「いろんな意味で勉強になる。毎日、悔いのないように過ごそうとキャンプからやってきた。自分に与えられた場所があるのは喜ばしい」。11日の横浜戦(横浜)では山口から本塁打をマークするなど勝負強い打撃は健在だ。

 横浜と並んで5位タイに浮上。「借金を返して。コツコツと。まだ4月ですから」。復活を遂げた背番号1が、力強く反攻を宣言した。【酒井俊作】

 [2010年4月17日8時46分

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