<横浜4-8阪神>◇18日◇横浜

 横浜の青空に打球が吸い込まれていく。そして、右中間席上空で消えた。着弾点を探し続けた虎党たちは、目を丸くして狂喜乱舞。クレイグ・ブラゼル内野手(29)が推定飛距離150メートルの場外弾で、あっさり試合をひっくり返した。

 1点を追う8回1死一、三塁。横浜桑原の真ん中低めに沈むスライダーをジャストミート。「打った瞬間に入ると思ったよ。風がうまい具合に運んでくれたね」。セリーグトップの巨人ラミレスに並ぶ今季7号は値千金の逆転右中間3ラン。右肩痛に苦しむ金本の名前が、スタメン表から消えた1戦。絶対に負けられない試合で勝利を導いた。

 ブラゼル

 金本さんは常に(スタメンに)固定されている選手。いないのは残念だった。(阪神入団後)僕が試合で出ている時は必ず4番。金本さんがいないラインアップは変な感じだった。本当に人間的にも選手としても素晴らしい方だし、今日は金本さんのためにも勝ちたかったんだ。

 ブラゼルは1年前の記憶を鮮明に覚えているという。「ソフトバンク戦でタイムリーを打った試合だね」。昨年6月7日のソフトバンク戦(甲子園)、金本が逆転サヨナラ打。阪神に途中入団したばかりの助っ人は主砲の勝負強さに感激した。入団直後から「本当に良くしてくれた」と感謝する大先輩は、負傷をものともせず試合出場を継続。ブラゼル自身も昨季、足の負傷に負けじと強行出場を続けた。そのスピリットに共感するからこそ、今日はどうしても勝ちたかった。

 2点を追う4回には反撃ののろしを上げる左翼線適時二塁打をマークし、再び2点を追う6回は2死から左翼線二塁打で出塁し、1点差に迫るホームを踏んだ。3安打4打点3得点の大暴れは、金本先輩に向けた活躍でもある。「金本さんはこれからもずっと、良いプレーをしてくれると思っているよ」。ブラゼルは金本の復活を信じてやまない。【佐井陽介】

 [2010年4月19日11時9分

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