期待の右腕が新風を吹き込む。プロ5年目の阪神鶴直人投手(23)が27日ヤクルト戦(神宮)から1軍に合流する。3年連続して開幕戦で勝利投手となった安藤が登録抹消され、替わりに1軍に昇格するのは鳴尾浜のエースだ。

 「うれしいです。目標にしていたので、とにかく今の力を出し切りたい」と胸を高鳴らせた。1軍投手陣は24試合消化時点で5投手が10試合以上に登板するなど台所事情はカツカツ。交流戦前のヤマ場となる9連戦で、疲れが見える投手陣は新戦力の加入でリフレッシュする。

 首脳陣からの期待は大きい。秋季安芸キャンプでは視察に訪れた坂井オーナーにも絶賛された。オフには初めて久保田と自主トレを行うなど、1軍のエキスも吸収。今季はファームで開幕投手を務めた。

 25日ウエスタン・リーグ広島戦(京丹後)で5回5失点と打ち込まれ、山口投手コーチは「直近で打たれているから、1度中継ぎで様子を見る」とまずは中継ぎで起用。ただ同コーチは「(先発でも)リリーフでもどっちでも、2軍の推薦の1番は鶴」と明かし“テスト”をクリアすれば先発転向の可能性もある。

 プロ初登板初先発となった08年6月15日ロッテ戦(千葉)では1死も取れずに6失点で降板した。「あのときとは全然違う。少しは自信を持って投げられると思います」。着実な進化が、自信という言葉に表れる。未完の大器が晴れ舞台に上がり、巨人追撃の勢いをつける。【鎌田真一郎】

 [2010年4月27日11時5分

 紙面から]ソーシャルブックマーク