<広島4-6楽天>◇13日◇呉

 敵を知り尽くしていると、戦いはかくも優位に進む。楽天マーティー・ブラウン(47)監督にとっては昨季まで率いた広島との初対戦。「4年間、選手の長短所を見てきた。スコアラーの情報に加え、私とリブジー(ヘッドコーチ)の情報をコーチに伝え、野手が実践してくれた」の言葉に、10年楽天が広島に対し持つアドバンテージが凝縮されていた。

 猛打賞4人と、広島投手陣をめった打ちにした。先発の青木高を2回までに攻略した。直球、スライダー、チェンジアップ、スローカーブ。持ち球すべてを打った。狙い球を絞り、球速に比例し腕が緩む欠点も見逃さない。8安打6点を集中した。4打点のフィリップスも広島に在籍していた。開幕から不振で2軍落ちしたが、ブラウン監督は「私は彼の実力を知っている」。昨季残した打者の総合評価指数を示す「出塁率+長打率=・839」という数字は、相手の4番栗原の・842と同等の隠れ強打者だった。周囲の心配に動じなかった眼力も確かで、指揮官にとって「特別な日」に実力は開花した。

 バッテリーに授けた「早打ちだから勝負を早く」の指示もズバリ。リーグをまたぎ指揮を執るブラウン監督にしかできない芸当で連敗4でストップ。代名詞の「イイヨ」を連呼し意気軒高に引き揚げた。【宮下敬至】

 [2010年5月14日8時36分

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