<オリックス10-6阪神>◇21日◇京セラドーム大阪

 簡単に前任監督率いるチームに負ける訳にはいかない。0-8の一方的展開からトラ打線が猛反発した。5回、それまで完ぺきに抑え込まれていた金子千らに、怒とうの長短打を浴びせて今季最多の1イニング6得点。突破口は城島健司捕手(33)だった。

 「守りと打撃は別物。点差が離れていたから打たなくていいというのはない」。新井の敵失と金本の二塁打で作った無死二、三塁。フォークをとらえ、左翼線に追撃の2点二塁打を運んだ。ジョーの反撃打に勇気づいた打線が一気の爆発。桜井&葛城の連続アーチで金子をKO。2番手香月にもマートン、平野が連打で襲いかかり、一気に2点差まで詰め寄った。

 試合の流れを一変させた城島自身は今季の移籍でアキノブ対決に因縁はない。それでもベンチの闘志を背負い、しかも捕手として投手陣が打たれた責任から必死に反撃した。新井の二塁打、金本四球で巡った6回無死一、二塁で今度は鮮やかなセフティーバントを三塁線に転がす。「サインです。僕もどういう状況か把握していましたから」。意表を突く今季2個目の犠打で一打同点の好機をつくった。予期せぬ小技で球場をどよめかせ、チーム史上最大に並ぶ8点差大逆転の夢を見させた。残念ながら後続が倒れたが、バットとあきらめないハートで、ダービーマッチを盛り上げた。

 「今は苦しいけど、そういう時に任されている。キャッチャーの見せ場。投手が疲れましたから負けましたではすまない」。敵地ながら京セラドーム大阪では、開幕3連戦でのサヨナラ弾などド派手な日本再デビューを飾っている。大きな宿題を得ただけに、今日こそ虎投の防波堤となり、岡田オリックスにリベンジする。【松井清員】

 [2010年5月22日11時25分

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