アニキのバットから逆襲が始まる。阪神金本知憲外野手(42)が、29日からの日本ハム2連戦で指名打者として先発再復帰する。4勝8敗で迎える交流戦後半戦。日本ハムの先発はダルビッシュが予想されるが、金本は札幌ドームでは阪神移籍後20試合で5発と量産する得意球場だ。右肩痛で代打起用の多かった今月はここまで0本塁打。98年7月から10年4月まで70カ月(4~9月)毎月本塁打してきたアニキが、ダルビッシュからの1発で記録継続を目指す。

 背番号6が再びスタメンに名を連ねる。リーグ2位ながらも首位巨人とは4・5差。4勝8敗で折り返した交流戦の後半戦、金本のバットが浮力になる。日本ハム戦に向け、チーム便で空路札幌入りした際、アニキの表情には笑みも見られた。5試合ぶりに満を持しての先発復帰は、ダルビッシュ撃ちが使命だ。

 打順は、今回も「5番指名打者」として先発再復帰する可能性が高い。28日、和田打撃コーチが「流れというものもあるし、(打順の)並びは前回みたいになると思う。大幅な変更はない」と明言。新井に代わっての4番復帰に関しても「新井は状態が悪いわけではないし、4番が毎試合変わるのはよくない」と持論を展開し、方向性を示した。

 金本は、5番DHで先発した18日からのソフトバンク、オリックス戦4試合で14打数5安打と結果を残した。同打撃コーチが「カネは日に日にというか、1打席ごとにタイミングが取れるようになっている。打球の質も上向き」と太鼓判を押すほど状態はいい。そこに、北の大地が後押しする。阪神に移籍後、札幌ドームでの20試合で打率2割7分、5本塁打、13打点を量産。敵地ながら得意球場の1つになっている。

 4月17日を最後に連続フルイニング出場記録はストップしたが、実はその影響でもう1つの“連続記録”がピンチにある。金本は、98年7月からオンシーズンの4~9月に毎月本塁打してきた。04年からは甲子園での本塁打1本につきファンに家族旅行を招待する企画を実施するなど、常に期待に応える男だった。10年も4月に3本をマーク。だが、右肩痛の影響で主に代打出場の今月はここまで不発。今月は残り日本ハム2連戦しかない。

 それでも、逆境に立つほど力を発揮するのが、頼れるアニキ。対戦するダルビッシュには過去5試合で打率1割2分5厘ながら、07年には甲子園で1発をお見舞いしている。昨オフ、自主トレで1日入門した右腕と相対すれば、金本も燃えないはずがない。

 記録継続となる1発をチームも待ち望む。交流戦首位のハムをおいしくいただいて、さあ反撃のエネルギーに…。コンスタントに結果を残してきた男の底力に、期待が掛かる。

 [2010年5月29日11時12分

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