<ヤクルト1-5巨人>◇22日◇神宮

 巨人のアレックス・ラミレス外野手(35)がヤクルト戦で10年連続20本塁打を達成した。01年の来日1号を放った神宮球場で、1-0の4回に中越えソロ。外国人選手ではローズ(元オリックス)に次ぐ2人目の快挙となった。試合も5-1で逃げ切り、6回1失点の東野はリーグトップに並ぶ9勝目をマークした。

 かつて7年間、慣れ親しんだ神宮の杜(もり)にラミレスの声が響き渡った。「ヨロコンデー!」。1-0の4回、ヤクルト村中の高め直球をバックスクリーン左横へ放り込んだ。節目の20号を豪快に決め、ノリノリで右手を振り上げた。

 珍しく、自分で自分を褒めた。「われながら結構、すごいと思うんだけど」。01年の来日から10年連続20本塁打。外国人選手としては元オリックス・ローズに続く史上2人目の快挙だ。「自分にとっては意味ある1発だった。日本で最初の本塁打も神宮。ヤクルトのファンにもお見せできたし、ここで決められてパーフェクトだよ」と喜んだ。

 最強助っ人列伝に名を刻み続けている。交流戦が終わって、懐かしい映画を見た。92年公開の米国映画「ミスター・ベースボール」。チーム内競争に敗れ、ヤンキースから中日にトレードされたトム・セレック演じるジャック。来日当初は日本野球になじめず成績も振るわなかったが、高倉健演じる内山監督ら周囲の助けもあって、徐々にチームに溶け込んでいく。異国でのサクセスストーリーに、かつての自分を重ね合わせた。公開時に映画館で見たのは、インディアンスとマイナー契約を結んだころ。「まさか日本でプレーすることになるとはね」と運命に驚いた。

 パフォーマンスはもともと、日本のファンを喜ばそうと始めた。日本の文化、日本人の心を理解し、今や日本球界を代表する大砲となった。日本で長くプレーできている理由を問われ「特別なことはない。毎日、全力を尽くしているだけだよ」と即答した。不断の努力で金字塔を打ち立てた。

 初めて映画を見てから20年近くたった。「僕のほうがジャックより日本で、いっぱい学んだよ。今度『ミスター・ベースボール・パート2

 ヨロコンデー!』をつくろうかな」と笑った。巨人のミスター・ベースボールは、これからもチームの勝利のためにプレーし続ける。【古川真弥】

 [2010年6月23日8時3分

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