さあ、スタンバイOK!

 右肩痛から再起を目指す阪神金本知憲外野手(42)が15日の巨人戦(甲子園)にも先発復帰する可能性があることが14日、分かった。雨天中止になった巨人戦を前に2日連続で外野ノックと送球練習を敢行。すでに首脳陣による最終チェックも完了し、本人との間で「出場OK」の合意もなされた。最終決定は天候を見ながらになるが、巨人との首位争いが過熱する阪神に、約3カ月ぶりに主砲が帰ってくる。

 試合開始30分前。激しい雨のごう音を聞きながら、シートノック待機のため一塁ベンチ内にいた金本は苦笑いを浮かべた。阪神ナインがグラウンドに飛び出そうという、まさにその瞬間に雨脚が強まり、無情の中止決定となった。

 ベンチ裏に下がってきた背番号6は指をパチンと鳴らし「せっかく(先発)だったのに~」と満面の笑み。いつ先発復帰するのか-。報道陣の一番の興味をしっかり感じ取り、絶妙なジョークで笑わせてみせた。メンバー発表はされなかったが、実際はスタメン表に名前はなかった。ただ、いつでも「Xデー」を迎える状況に入っていることがこの日、判明した。

 前日に続き、ナインが室内で練習する中、甲子園の外野でたった1人、ノックを受けた。右翼の位置で山脇外野守備走塁コーチのノックを14本。前日の7本から倍増した。うち3本はバックホームを想定し、チャージ(早い前進)からカットマンに強く返球した。

 同コーチは「昨日よりもいいんじゃないか」と語り、常川チーフトレーナーも「いい状態です」。滑りやすい芝の状態も自らチェックし、試合の前のシートノックも2日連続で志願した。連日の悪条件でも志願できるのは、感触がいいからにほかならない。

 首脳陣はすでに、前日に「もう十分」との最終判断を下していた。前日の1人ノックは真弓監督と木戸ヘッドコーチが視察したが、今回は視察しなかった。金本は前日、首脳陣に「いけます」と伝えている。真弓監督も13日の生チェックを踏まえた上で、金本の思いも受け止め、ついにGOサインを出した。

 最後に守備に就いたのは、連続フルイニング出場記録が途切れる前日の4月17日の横浜戦(横浜)。3カ月近く、慎重に、1歩ずつ右肩の回復をはかってきた。もちろん完治はしていないため、復帰のタイミングには細心の注意を払うことになる。真弓監督はこの日、「グラウンド(状態)が悪いとバランスを崩したりするからな。人工芝はどうかな。まあ様子を見ながらやろ」と語った。

 15日も天候は悪そうで、次のカードは人工芝の神宮球場。あくまで天候や球場のコンディションを勘案しながらになるが、Xデーまでは間違いなく秒読みだ。首位巨人に1・5差。つばぜり合いを続ける虎の7月戦線に、千両役者が満を持して参戦する。

 [2010年7月15日12時4分

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