<ヤクルト3-2中日>◇3日◇神宮

 逆転Vを狙う落合竜にピンチが訪れた。谷繁元信捕手(39)が4回の打席で左ひじを痛め、その裏の守備で自ら交代を申し出た。本人にとって初めて故障する個所で、今後の状態次第では戦線離脱の可能性もある。チームもヤクルトに惜敗し、首位を奪回した巨人とは5・5ゲーム差。防御率リーグNO・1の投手陣を支えてきた正捕手が不在となれば、逆転優勝に暗雲がたれこめる。

 異常事態だった。4回の守備、谷繁がベンチから出てこない。「谷繁選手、ケガの手当をしております」とアナウンスが流れた後でようやく姿を現したが、チェンの投球練習を数球受けると自らベンチに交代を申し出た。突然のアクシデントに急きょ、控え捕手の小田がマスクをかぶった。

 交代した谷繁はすぐにベンチ裏に消え、しばらくした後、左ひじをアイシングしながら出てきた。「ちょっとや、そっとじゃ(自分から)代わらないよ。空振りの時にやった。今までやったことがない場所。今後?

 わからない」。そう言い残すと、タクシーで試合中に球場を後にした。正捕手を欠いた試合はあと1点が届かず、惜敗となった。

 試合後、田村捕手コーチは「前の試合でボールが当たったらしい。それできょうバットを振った時に痛めたということだった」と話した。谷繁は1日阪神戦(甲子園)の中で左ひじ付近に打球を受けた模様。この日はサポーターを巻いて出場したが、4回の打席で空振りした際に左ひじを痛めた。この打席で二塁打を放ったものの、その裏の守備では投手の球を受けることが難しいと自ら判断した。

 この日は病院には行かず、今後に関しては4日の状態を見てから判断するという。ただ、谷繁は「70%の動きができれば、それは故障ではない」というポリシーを持ち、シーズン中も多少の故障を抱えながら試合に出場してきた。その谷繁が自ら交代を申し出たとなれば、軽傷では済まない可能性が高い。長期離脱という最悪の事態も考えられる。

 チームは5試合連続完封勝利を含めた球宴前後の7連勝で巨人、阪神を追撃する態勢に入った。その原動力となったのがリーグNO・1の防御率で、経験豊富なリードで投手陣を引っ張った谷繁だった。夏場の6連戦が続く勝負どころで正捕手が離脱となれば、致命的な戦力ダウンになりかねない。逆転優勝を狙うチームにとって、谷繁の今後は大きな意味を持つことになる。【鈴木忠平】

 [2010年8月4日10時43分

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