<ソフトバンク6-9ロッテ>◇28日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクのエース杉内俊哉投手(29)に異変が発生した。28日のロッテ戦で3回2/3、6安打7四死球での9失点KO。押し出し四球3個を含む7与四死球、9失点はプロ9年目でワースト。股(こ)関節を痛めた可能性があり、29日に首脳陣と話し合いを持つことになった。最悪の場合は出場選手登録の抹消もある緊急事態だ。ハーラー単独トップの15勝を稼ぐエース左腕での惨敗で、チームは再びロッテと同率首位に並ばれた。

 首位固めに失敗したショック以上に、不安材料を残す杉内の降板劇だった。交代を告げる高山投手コーチが近づいたとき、杉内は力尽きたように両ひざに両手をつき、視線を地面に向けた。4回2死満塁で福浦に、2者連続押し出しとなる四球。今季6敗目。制球に苦しんだこの日を象徴するKOシーンだった。

 109球を投げたが、異変は1個目の死球時に起きた模様だ。初回1死一塁で井口にワンバウンドで死球を与えた。チェンジアップがひっかかってのもの。高山投手コーチは「死球を出したとき杉内の顔色が変わった。おかしいなと思った」と振り返った。その井口から押し出し四球を含む3連続四死球で先制を許すと、大松に3ランを浴びるなど5失点と炎上した。

 2回以降も立ち直れなかった。本拠マウンドで何度も足元を気にするそぶりがあったことから、下半身や股関節に異変が起こった可能性が高い。それを裏付けるかのように、変化球はひっかかってワンバウンドとなり、直球は抜けた。上体と下半身の崩れたバランスを修正できず、4回は4四球を与えた。5回持たずに降板したのは今季2度目だが、7四死球と9失点はいずれも自己ワースト。1試合3押し出しも過去に経験がない。しかも相手は08年4月25日に敗れたのを最後に6連勝中だったロッテ。得意カードでの乱調だけに異変を、より際立たせた。

 杉内は「初回がすべて。まっすぐがひどかった」とだけ話した。高山投手コーチは「変なケガでないことを祈る」と話し、29日に杉内の一夜明けの状態を確認する方針を示した。エース左腕で試合を落としたショックだけでなく、最悪の場合は抹消のケースもあり得るだけに、チームを重苦しい雰囲気が包んだ。

 これでロッテに再び並ばれての同率首位。自ら大混戦のパ・リーグを演出する格好となってしまった。29日の首位決戦第3ラウンドへ、打線が10安打6得点と集中力を切らさず追い上げたのが、何よりの救い。「厳しい試合が続くな。明日は総力戦。6連戦の最後だから」と秋山監督。ここにきて杉内故障となれば、ソフトバンクのVプランが大きく狂ってくる。

 [2010年8月29日11時51分

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