ソフトバンク斉藤和巳投手(32)が、球団から来季育成選手としての契約を打診されていたことが、28日までに分かった。この日、小林至編成・育成部長は「契約の過程は申しあげられない。まだ話し合いをはじめたばかりで、オフまでかけて話をしようということ」と説明。支配下登録枠に余裕を持たすため、育成選手契約とする方針を伝えたもようだ。

 03年20勝で日本一、2度の沢村賞に輝いた元エースの処遇に、球団が重い決断を下した。現在右肩リハビリ中の斉藤は、07年10月8日のロッテとのクライマックスシリーズ第1戦を最後に約3年間実戦登板がない。今年2月にも3度目の右肩手術を行っており、来季の実戦登板も微妙な状況だ。同部長は「丸3年投げていないので重い故障ではある。ただ彼は功労者ですから。再起の可能性がある限りバックアップする」と話した。

 一方で球団は今オフ、支配下登録選手を減らし育成選手を中心とした「3軍構想」を計画中。実戦復帰時期が不透明な斉藤を育成枠にすることで再起の道を残すとともに、支配下登録選手数に余裕を持たせたい考えだ。斉藤がこの処遇を受け入れられない場合は自由契約での退団、引退の可能性も出てくる。

 この日、西戸崎室内練習場(福岡市東区)で約4時間のトレーニングを行った斉藤は「何を聞かれても、お答えできることはない。お話しできることはありません。すみません」と話した。元エースへの育成契約打診という今回の球団の決断は、火種を残しかねないだけに今後の行方が注目される。

 [2010年8月29日11時16分

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