<楽天7-6西武>◇4日◇Kスタ宮城

 首位固めを狙った西武が、ダメージの大きい敗戦を喫した。最下位楽天相手に9回に6失点し、6-7で逆転サヨナラ負け。8回まで1失点のエース涌井秀章投手(24)が突如の大乱調。9回無死から5連打を浴びて5失点し、代わった守護神シコースキー(35)でも悪い流れを止められなかった。5点差以上を9回裏にひっくり返されたのは史上7度目の悪夢。9月4連勝目前に「野球の怖さ」を思い知らされた。

 帰りのバスに向かう涌井は下を向いたままだった。背中にのしかかる責任感が、足どりを重くした。余裕の完投ペースが一転、5点リードの9回に無死から5連打されて降板した。信じがたい逆転サヨナラ負けの瞬間をベンチで見届け「8回と9回で変わったところ?

 ないです。普通に打たれただけ」と言葉を絞りだした。簡単に気持ちの整理がつくはずはなかった。

 試合後の渡辺監督は、高ぶる感情を必死でこらえながら「野球の怖さ」のフレーズを2度、口にした。続けて「すんなり終わらなくちゃいけないのに、涌井のエースとしてのひ弱さが出た。ああいう形で崩れるのは、やっぱりまだまだ」と苦言を呈した。打線は中村のソロなど3発も出て効果的に加点して6得点。涌井は8回まで4安打1失点、球数は100球。盤石の試合運びだっただけに、別人のように打たれたエースの背信投球に、ショックを隠せない。

 頼みの守護神シコースキーでも、悪い流れを止められなかった。5点リードを涌井が2点差にされた後、無死二、三塁から緊急登板。嶋、聖沢、ルイーズに適時打を浴びて力尽き「準備はできていたけど、こういう日もある。また明日」と話した。渡辺監督は「厳しい場面をなんとか託したけど、今の状態だと酷だった」。これまで何度もピンチを救ってきた守護神は調子を落とし気味だけに、責められなかった。

 勝負の9月に入って、負けなしの3連勝で迎えた一戦。渡辺監督は「今年の流れを決めるような大事な試合だった」と位置付けていた。首位固めへ、エースでこれ以上ない勢いをつけるはずが、まさかの大どんでん返しにチームの落胆も激しかった。負け方のダメージを考えても1敗以上の重みがあるが、残すはあと17試合。引きずらないで戦うしかない。【柴田猛夫】

 [2010年9月5日8時25分

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