<中日1-0横浜>◇10日◇ナゴヤドーム

 中日が阪神に代わって首位に浮上した。先発の岩田慎司投手(23)が7回2安打と踏ん張り、浅尾拓也投手(25)-岩瀬仁紀投手(35)とつないで横浜打線を無得点に抑えた。前夜の阪神戦では崩れたが、首位との最大8ゲーム差をひっくり返す原動力となった救援陣が無失点リレー。残り14試合で、4月15日以来の首位に浮上した。

 ライバルの阪神、巨人を上回る、リーグトップの防御率3・30を誇る投手力で横浜打線を封じ、中日が首位を奪った。落合監督は「ヒットゼロでも勝てる。エラーとか四球とか、いろんな手はある」。4安打1得点と打線は湿ったが、守り勝つ野球で得点を許さなかった。

 その中心にいるのが岩瀬だ。前夜の阪神との首位攻防戦では救援に失敗し、試合は延長の末、引き分けに終わった。「もう前を向いて行こうと思っていた」。9回1死から12年連続の50試合登板。スレッジ、カスティーヨを抑えると「1年の目標にしているので、達成できたのはよかった」と、胸をなで下ろした。

 落合監督が「岩瀬で負けたら仕方ない」と、絶大な信頼を寄せる守護神。8月には後半だけで2敗を喫し、前夜は「考えることがありすぎて」なかなか気持ちを切り替えることができなかった。それでも「信頼して使ってくれているので、やらなきゃいけないし、やっていくだけ」と、プレッシャーをはねのけた。落合監督は「これからは毎日だよ」と、息を吹き返したストッパーに残り試合でのフル回転を命じた。

 岩瀬につないだのは10勝目を挙げた浅尾だ。9日に最優秀中継ぎ投手のタイトルを確定させた男は、この日も盤石だった。8回を無失点に抑えると、9回も先頭の村田を中飛に仕留め、2試合連続で岩瀬にマウンドを譲った。「(記録は)そんなに意識していなかった。こういう場面で使ってくれた監督や、試合を作ってくれる選手の皆さんのおかげ」。66試合目の登板だったが「これからも全試合投げるつもりでいきたい」と、疲れの色を見せない。

 ようやくつかんだ首位。だが、落合監督はまだ気を緩めない。「勝率を争っているんだろ?

 うちは負け数が3つ多い。どうやって計算したらうちが首位なの?

 小学生でもできる計算だろ」。この先には阪神との天王山も待っている。残り14試合。指揮官は、勝利の余韻に浸ることなく、勝ってかぶとの緒を締めた。【福岡吉央】

 [2010年9月11日8時45分

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