<広島5-6中日>◇15日◇マツダスタジアム

 中日岩瀬仁紀投手(35)が2年連続となる5度目の年間40セーブを挙げた。1点リードの9回の登板。広島打線を無失点に抑え、自身が持つ日本記録を更新した。

 「イメージ通りだった。1つ間違えたらえらいことになっていたけど、間違えないようにした」。

 先頭倉に右前打を許し、犠打で1死二塁。一打同点ピンチを迎えたが、ひるまなかった。代打前田智を内角へのスライダーで見逃し三振。手元に狂いが生じれば死球を与えてしまう危険性もある中、3球連続となる内角球で前田智をのけぞらせた。針の穴を通すような内角いっぱいのストライク。後続の代打赤松も遊ゴロに抑えると、笑顔でナインと握手を交わし、勝利の余韻に浸った。

 シーズンを投げ抜くために、食事にも細心の注意を払う男だ。20代のころは3日続けて焼き肉を食べていたこともあったが、35歳を迎えた今は内臓への負担も考え、牛肉を口にすることはほとんどなくなった。「肉はもっぱら鶏だね」。体重が増えれば炭水化物を減らし、ベスト体重を維持することも。長いシーズンに耐えうる肉体を常にキープしている。

 年間40セーブを2度以上挙げているのはプロ野球界でただ1人だけ。だが岩瀬は「それどころじゃない。勝つことが大事。チームが勝てばいいんで」と、個人の記録には興味を示さない。あくまで欲しいのは4年ぶりのリーグ優勝。頼れる竜の守護神は残り試合でも歓喜を信じ、9回のマウンドに立ち続ける。【福岡吉央】

 [2010年9月16日11時9分

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