楽天が新監督として招聘(しょうへい)に乗り出している阪神星野仙一オーナー付シニアディレクター(SD=63)が5日、楽天サイドと交渉のテーブルに着く姿勢を示した。4日、楽天三木谷浩史球団会長(45)と阪神坂井信也オーナー(62)が直接会談。楽天サイドからチーム再建を星野氏に託したい意向が阪神サイドに伝えられていた。星野氏は早ければ連休明けの12日にも坂井オーナーと会談した上で、スムーズに進めば、クライマックスシリーズ(CS)後にも楽天との交渉に臨むことになりそうだ。

 楽天新監督に浮上している星野氏が、交渉のテーブルに着く姿勢を明らかにした。かねて三木谷会長とは親交を重ね、太いパイプを持つ。正式要請を受けた場合は「そういう状況になったときには、(先方に)失礼のないよう1度お会いするつもりでいる。それが礼儀だと思う」と慎重に言葉を選んだ。

 阪神監督だった03年には低迷したチームを奮い立たせ、18年ぶりのリーグ優勝を果たした。監督の座を退いた後も、オーナー付シニアディレクターとして本社、球団内で意見を交わすなど、内外に影響力を保持してきた。一方、今年春には「もう1度、グラウンドで勝負したい」と復帰願望もつのらせていた。

 北京五輪で日本代表監督を務めるなど、球界に身を置く“闘将”とすれば、再びユニホームを着る気持ちがにじんでくるのは当然の流れだ。9月29日に楽天ブラウン監督が解任され、名前が浮上した際にも「おれも忘れられてないんだな。ありがたい話や」と反応。楽天側を気遣った発言を繰り返してきた。

 ただ一方で「タテジマ」に強い愛着を感じているのも事実だ。4日には、阪神坂井オーナーが三木谷会長から次期監督として招聘、交渉の意向を示された。所属球団のトップが了承した事実にも、「正式に話をうかがっていない」とし、早ければ8日にも直接会談をするとみられる。

 要請を受諾するかどうかについては「まだ(楽天から)直接要請を受けたわけではない」と前置きした上で、現時点の心境について「悩んでいるというか、正直言って戸惑っている」ともらした。一連の流れも含め、坂井オーナーとの話し合いによって、自身の態度を明確にしたいと考えているようだ。

 現在、阪神が2位争いをしていることにも配慮し、楽天との交渉に臨むのはCSでチームの行方が定まってからになりそうだ。星野SDは「簡単に答えは出せない」と熟慮しているものの、阪神サイドとの会談によっては、一気に進展する可能性もはらんでいる。

 [2010年10月6日9時49分

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