<ヤクルト4-17阪神>◇5日◇神宮

 2位もCSも主砲にお任せ!

 3試合連続で5番に入った阪神金本知憲外野手(42)が完全復調の兆しを見せた。2回バックスクリーンに豪快な16号3ランを突き刺した。今季2度目の2試合連続アーチ。クライマックスシリーズ(CS)に向け、元不動の4番らしく体調さえ万全なら十分に主軸を任せられることを実証した。通算2371安打は落合博満に並ぶ歴代11位に浮上。巨人も勝ったが19安打17点大勝で2位死守にまた1歩前進だ。

 完ぺきだった。完全復活を告げる打球は、空気抵抗という“障害物”をもあざ笑うように勢いを加速させる。中堅青木も打球を目で追うことしかできない。「カン」という甲高い打球音を残した白球はわずか2秒後、ライナーでバックスクリーンに突き刺さった。今季16号は、金本にとって今季2度目の2試合連続アーチだった。

 2回。異様な雰囲気の中、打席が巡ってきた。直前にはマートンがシーズン211安打のプロ野球新記録を達成。新井も左前適時打で続き阪神ファンのボルテージは最高潮に達していた。鳴りやまない大歓声の中、金本は打った。春季キャンプで例年、打撃を仕上げるバロメーターでもある中堅方向の強烈な一撃。和田打撃コーチは、いつにも増して冗舌だった。「あそこ(バックスクリーン)に、ああいう打球を飛ばすんだからね。本来のスイングに戻った証拠だよ」。

 予感はあった。3日の広島戦(マツダ)。金本は27試合、73打席ぶりの1発を広島今井から放った。打ったコースは外角高め。自分の体から一番遠い球に対して、自然とバットが出た。右肩は万全の状態ではない中、勝手に体が反応しての1発に「あそこの球を(スタンドまで)持って行けるんだから、打撃の状態は上がってきているということだろ」と手応えを感じていた。そしてこの日のバックスクリーン直撃弾。CS第1ステージを10日後に控え、最も頼れる男のバットに明るい兆しが見え始めた。

 それは和田コーチも一緒だ。「凡打にしても、打球の質がいいでしょ。全打席、内容のある打撃をしている。スイングの強さも戻ったね」。金本はこの1発で通算2371安打となり、落合(現中日監督)と並ぶ歴代11位に浮上した。序盤で試合が決したため、4回の打席を終えたところでベンチで休養。それはもちろん、16日にスタートするCSファーストステージを見据えてのもの。金本のバットに本来の当たりが戻ってきたのは、チームにとってこれ以上喜ばしいことはない。

 [2010年10月6日10時50分

 紙面から]ソーシャルブックマーク