阪神マット・マートン外野手(29)が、ポストシーズンゲームを勝ち抜く3カ条を掲げた。11日、甲子園での全体練習に参加。カブス時代の07年にプレーオフの経験がある安打製造機は (1) 平常心 (2) 1プレーを大事にする (3) 仲間を信頼する、の3項目を掲げた。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは最多で3試合。プロ野球記録を打ち立てた214安打男が、ライバル巨人を粉砕して勝利を呼び寄せる。

 「何が起こるか、わからない」。マートンは、何度もそう口にした。ポストシーズンで最も短い3試合制のCSファーストステージ。プレーボール即クライマックスの修羅場で、ブレないための3カ条を掲げた。

  (1) 平常心

 「普段の野球をするのが大事。自分の気持ちをコントロールすることが大事」。カブス時代の07年10月8日にはナ・リーグ地区シリーズの対ダイヤモンドバックス2戦目に「5番右翼」で先発。4打席で三塁への内野安打1本に終わった。「プレーオフは雰囲気が違った。持っている以上のものを出そうと力が入ってしまう」。不完全燃焼に終わった自らを反面教師にしている。

  (2) 1プレーを大事にする

 「1球、1打席、1イニングが大事になる」。例に挙げたのは04年のア・リーグ優勝決定シリーズだ。レッドソックスが3連敗からの4連勝でヤンキースを撃破。きっかけは4戦目の1点を追う9回裏無死一塁で、代走ロバーツが相手の厳重警戒をかいくぐって二盗したこと。直後の適時打で同点とし、延長12回にサヨナラ勝ちした。「今年もレンジャーズがレイズに2連勝して、もう決まりかなと思ったら、レイズが2連勝している」。どんな局面でも1プレーをおろそかにしない。

  (3) 仲間を信頼する

 「(自分が)期待されるのはありがたいけど、28人全員でやるべきことをやる。お互いを信頼するのがプレーオフを戦う中で大事。得点、打点は1人ではできない。自分自身だけでは勝てない」。まじめ助っ人は安打量産が期待されるが、記録よりもチームの勝利を重視する姿勢をCSでも貫く。

 「阪神と巨人のライバル関係はレギュラーシーズンでもすごかった。CSではもっと盛り上がるだろうし、甲子園でやりたいと思っていたんだ。おもしろい戦いになるね」。イチローを抜いた214安打男が、高い技術とブレない心で、チーム初のCS突破の立役者になる。【益田一弘】

 [2010年10月12日10時59分

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