さあ日本一決戦、MVP対決を制するのはオレだ!

 クライマックスシリーズ(CS)の最優秀選手(MVP)に輝いた中日和田一浩外野手(38)が25日、CS突破の立役者となったロッテ成瀬の研究に乗り出すことを明かした。30日に開幕する日本シリーズ初戦(ナゴヤドーム)はCSのMVP左腕の先発が濃厚。西武時代からキラーだった竜の主砲が、成瀬を丸裸にして徹底的に打ちのめす。

 その視線は早くも次の獲物をとらえていた。ターゲットは“下克上”を掲げるロッテの中心人物。リーグ3位のロッテを日本シリーズに導いた左腕成瀬だ。中日打線の主軸を張る和田は決意を込めて言った。「これから映像をみてイメージを膨らましたい。最近は調子がいいみたいだから、これまでの一番良い状態を意識してやっていきたい」。レギュラーシーズン。そしてCS。これまでの映像を洗い直し、左腕攻略を丸裸にする考えだ。

 中日ナインのなかで天敵をもっとも熟知しているのは間違いなく和田だろう。かつて西武時代には初対戦の06年に最初の打席で右本塁打を浴びせるなど計8試合で24打数9安打、打率3割7分5厘、2打点と打ちまくった。当時、1軍の試合に登板し始めた成瀬にしっかりとプロの洗礼を浴びせ天敵のイメージを植え付けている。中日に移籍した08年以降は対戦していないが、今や球界を代表する左腕を得意にしていたというわけだ。

 だが、和田に慢心はない。今回は白紙の状態から研究を進める考えを示した。「昔のことはあまり関係ないですよ。ピッチャーは1年でガラリと変わる。まだ、良いも悪いも分からない。一から入りますよ。しっかり情報は頭に入れていきます」。今回、対戦する左腕は数年前の“お得意様”とは違い、MVPの看板を背負っている。その進化を侮るつもりはない。

 この日、チームは30日に開幕する日本シリーズに向けてナゴヤドームで練習を再開。フリー打撃やノックなどの練習で汗を流した和田も緊張感を漂わせた。

 中日に移籍して初めて迎える日本シリーズだが、西武時代は過去4度出場して日本一になったのは04年の1度だけだ。「個人的には久しぶりの日本シリーズだけど、3回負けてるんでもう惨めな思いはしたくない。もう1度、監督を胴上げしたい。勝ってシーズンを終えたいですから」。1番に倒すべき初戦の先発が予想される成瀬。まずはMVP左腕を徹底解剖する。決戦まであと4日。できることはすべてやる。【桝井聡】

 [2010年10月26日11時48分

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