ソフトバンクの主将、小久保裕紀内野手(39)が今オフ、山ごもり修行を敢行する。栃木県内の山奥の施設で1週間、1日15時間にのぼる瞑想(めいそう)に加え、断食を取り入れる方向。ホークス復帰後4年契約の最終年を終えたことで、もう1度、野球と真摯(しんし)に向き合うため、自身4年ぶり3度目の単独修行を決断した。通算400本塁打&2000本安打のかかる来季へ、早くもスタートを切る。

 来季18年目を迎える小久保がこのオフ「内観」と呼ばれる精神修行を敢行する。「巨人からホークスに帰ってきて、4年契約の4年間が終わった。一つの節目。ここでもう1度、野球について振り返りたい」。栃木県内の山奥。テレビもラジオもなく、もちろん、携帯電話も持ち込めない。びょうぶで仕切られた畳半畳のスペース。そこで、ただひたすら野球と向き合う。「野球に対して自分は何をしたか」「野球は何をしてくれたか」。1週間、内面を深く振り返り続ける。

 1日12~15時間を数セットに分けて瞑想(めいそう)する。最初の3日間は断食も取り入れる。座布団を2枚敷いた上で、ずっと思い続ける。1人きりで。「3日目くらいから、ガーッと中に入っていく感じがある。自分と向き合う時間に最適な場所」。3度目の修行となるが、実は内観で野球に向き合うのは初めてだ。02年オフ、06年オフの過去2度は、プライベートな部分を振り返っていた。今回の精神鍛錬が、グラウンドに直結しているのだ。

 通算399本塁打。安打は1870本積み上げた。400号まで、あと1本。2000本安打には130本まで来た。今月8日に39歳になった。来年からは単年契約になると見られ、年齢的な衰えとも戦わなければいけない。この2年、ある葛藤(かっとう)と戦ってきた。「一昨年までは感じなかったけれど、昨年くらいから飛距離が落ちてきたと感じるときがある。来年、どういう打撃をするか。それはこのオフ、ゆっくり考えたい」と話していた。今季は左大胸筋と三頭筋に力が入らない症?に悩んだ。回復したとはいえ、勝負の11年へ、じっくり野球と向き合う必要があった。

 ただ、どういうプレースタイルでも不変のものがある。日本一への思い。リーグ優勝は成し遂げたが、CSでまさかの敗退。来季は日本一という忘れ物を取りに、また一回り大きくなった姿を、小久保が見せてくれるはずだ。【松井周治】

 [2010年10月27日12時10分

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