闘将が大砲で仙台を熱くする。楽天の星野仙一新監督(63)が27日、誕生した。推定年俸1億5000万円の1年契約で、背番号は中日、阪神監督時代と同じ77になった。仙台市内のホテルでの就任会見では「イーグルスを東北の文化にしたい。杜(もり)の都を熱くする!」と決意表明した。最下位からの脱出へ自らも補強に動き、韓国球界で9戦連発の世界記録をもつロッテ李大浩(イ・デホ=28)クラスの大物外国人の獲得を狙う。

 星野新監督の目はつり上がっていた。大阪から空路仙台入り。そのまま市内のホテルに滑り込んで、スイートルームで1年契約を締結。「1年1年が勝負の積み重ね」。就任会見に臨んだ引き締まった表情は、阪神で充電期間を過ごしたそれとは一変していた。

 三木谷球団会長、米田代表とひな壇に並び、高らかに宣言した。「楽天は新しい、伝統の、歴史のないチーム。東北を、仙台を熱くするのがわたしの仕事だ。歴史を築く第1歩にしたい。悩んだが、杜の都を熱くさせてやろう。そう自分自身を叱咤(しった)激励している。イーグルスを東北の文化にしたい!!」。なじみの薄い土地で始まる新生活、来年1月に64歳を迎える年齢と体力、未体験のパ・リーグ野球…。脳裏をよぎったさまざまな不安をすべて振り切って新天地に降り立った。

 決意のほどは低迷脱出を図るチーム再建策に表れる。今季の内容を分析し「機動力は使えそうだが、それだけではいくら投手戦で接戦に持ち込んでも勝てない。大きい(長打力)のが3人は必要だ」と大砲獲得に乗り出す構えだ。

 チーム95本塁打はリーグ5位。1290安打に限っては最低。山崎武司内野手(41)、途中入団のランディー・ルイーズ内野手(32)が主砲扱いだったが長打力不足は否めない。そこで、韓国ロッテで9戦連続本塁打の世界記録を記録し、08年北京五輪、09年WBCでは韓国代表として活躍した李大浩級のスラッガーの獲得を狙う。

 阪神時代にはジェフ・ウィリアムス投手を獲得して勝ちパターンを築いた。情報収集、分析力、人脈面など米大リーグ、韓国球界に独自のパイプを持つ。今後はGM的な役割を兼ね、星野ルートを駆使してチーム強化に取り組む。自らクジを引くドラフト会議が終われば、助っ人獲得に乗り出す可能性も高い。三木谷会長からは「未曾有の投入は出来ないが、財政的なバックアップはしたい」と約束もとりつけた。みちのくに大輪の花を咲かせる覚悟でいる。【寺尾博和】

 [2010年10月28日12時17分

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