<日本シリーズ:ロッテ10-4中日>◇第5戦◇4日◇千葉マリン

 闘争心は消えてはいなかった。帰りのバスへと向かう通路で中日和田一浩外野手(38)は語気を強めた。「あと2つ勝てばいいということ。5連勝、6連勝しろというわけじゃない。今日の負けは負けだけど、またやり返せばいい」。大敗で2勝3敗のがけっぷち。それでも背番号5は、はっきりと前を見据えた。

 1回1死二、三塁の好機で迎えた最初の打席は2球で追い込まれた。だが、「走者をかえすことだけを考えた」という4番は、続く変化球を左翼へ打ち上げ、先制点となるシリーズ6打点目。中盤には試合の大勢が決したが、黙って終わるわけにはいかなかった。8回には2死から左前打で出塁。続くブランコの左越え2ランで生還し、盛り上がっていた千葉マリンを黙らせた。1安打1打点。シリーズ19打数9安打で、打率4割7分4厘と好調をキープ。4試合連続で複数安打の3番森野、復調気配の5番ブランコとともにクリーンアップの勢いは増している。

 土壇場からの大逆転をよく知っている。04年の西武-中日の日本シリーズで、大逆転した西武の主役は和田だった。2勝3敗と追い込まれながらナゴヤドームに場所を移した第6戦で2本塁打を放った。その勢いに乗って日本一に駆け上がった。6年前のイメージはもちろん頭に残っている。「次はホームで落ち着いてできるからね。せっかく名古屋でできるんだから、それを生かさないとね」。明るい表情で逆襲を宣言した。【桝井聡】

 [2010年11月5日8時36分

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