<日韓クラブチャンピオンシップ:ロッテ3-0SK>◇13日◇東京ドーム

 ポスティングシステム(入札制度)でのメジャー移籍を目指すロッテ西岡剛内野手(26)が、有終の美を飾った。日本シリーズと韓国シリーズの覇者が対決する日韓クラブチャンピオンシップでロッテはSKに快勝。主将の西岡は2安打を放つなど活躍し、史上初の160試合全イニング出場を達成した。

 右手で涙をぬぐうようなしぐさを見せながら、西岡はゆっくりと9回の守備に就いた。今季最終戦。駆け巡る、さまざまな思いを抑えることはできなかったのだろう。試合後のセレモニーを終えると、ベンチに引き揚げるナインから離れて1人で右翼スタンドへと向かい、帽子を取って深々とお辞儀した。「剛コール」を浴びて「うれしかった。苦しい1年間もファンの声援で報われました」。静かな口調で振り返った。

 ロッテ最後となるかもしれない3点差で迎えた8回の第5打席。ひときわ大きな「剛コール」で迎えられた。こん身のフルスイングで空振り三振に終わったが、スタンドからの大歓声と拍手はなかなか止まらなかった。10日にポスティングシステムでのメジャー移籍を目指すと表明した。夢を追いかける決断をファンは理解してくれた。

 昨年9月26日。千葉マリンにフロント批判の横断幕を掲げたファンに対して抗議。それ以降、ユニホームを着ることが怖くなるほど、思い悩んだ。だが、主将に就任した今季、全力疾走、全力プレーでチームを引っ張って日本一に導いた。「1年間頑張ったことを(ファンは)たたえてくれたと思う」と、思いをかみしめるように言った。

 試合後のベンチでは瀬戸山球団社長と握手した。同社長は「まだ3~4日待って欲しい。もうしばらくいてほしいけど、彼の夢をかなえてやりたい気持ちももちろんあります」と態度を保留した。だが、西岡の夢の実現のため、ポスティングシステムでのメジャー挑戦を認める可能性は高い。

 ポストシーズンを含め、史上初となる160試合フルイニング出場を果たし、激動の1年が終わった。「最後までこういう勝ちゲームができて野球人として幸せです」。最高の形で締めくくり、西岡は8年間在籍したロッテから旅立つ。【斎藤庸裕】

 [2010年11月14日9時34分

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