えっ?

 言っちゃった?

 栄光の背番号を背負ったドラフト2位のPL学園・吉川大幾内野手(18)が13日、究極の目標を掲げた。この日、名古屋市内で行われた新入団発表に出席し、昨季まで立浪和義氏(41=野球評論家)がつけていた3番を継承。立浪2世は、背番号3で3冠王3度というミラクルな目標を口にした。

 背番号3がお披露目された。新入団発表の主役となったのは、あどけなさが残る18歳の背中。カメラのフラッシュを無数に浴びた吉川は、興奮と緊張で顔を紅潮させた。

 「高校生がすぐにつける番号じゃないと思っていた。立浪さんの番号ということもあって自分の中ではプレッシャーはあります。でもスカウトの方からは『自分の背番号にしていけ』と言われている。これからはこの背番号と一緒に頑張っていきたい」。

 背番号3の魔力だろうか。はたまた、入団会見で真横に座る落合博満監督(57)のオーラに共鳴したのか。記念すべき旅立ちの日に、吉川の口から思いがあふれ出た。プロ野球選手として究極の目標…。指揮官の記録を引き合いに出してこう切り出した。

 「映像で何度も見たことがあります。3冠王3度というのはもちろん知っている。センスがあると言うか、感性がすごいといった感じ。いずれは3冠王を狙えるような選手になりたい。落合さんのような記録を目指したい」。

 「ミスタードラゴンズ」の継承者が、球界でただ1人しか成し遂げていない3冠王3度に挑む-。背番号3で3冠王を3度となれば、まさに夢のトリプル3だ。高卒1年目のルーキーが口にするにはあまりにも壮大な目標。それでも背番号3には、不可能を可能にしてしまう何かがある。

 「立浪さんのように開幕1軍と期待されると思うけど、絶対にケガをしない選手になりたい。結果が問われる世界だし、長く活躍することが大事だと思う」。

 大先輩の「教え」を実践している。11月下旬にはテレビ番組の収録であこがれの人と初対面を果たし、オフのトレーニング法を伝授された。現在はその言葉どおりに体力強化に加え、打撃練習なども開始した。偉大な記録、球史に残る記憶もコツコツと着実な努力から始まる。

 確実性と長打力も兼ね備えた期待の18歳。これからどんなプレーを見せてくれるのか。背番号3の可能性は限りなく広がっている。【桝井聡】

 [2010年12月14日10時21分

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