オリックス田口壮外野手(41)が前代未聞の勝負に出る。今季は昨年までより約5センチも長い約90センチのバットを使用することが3日、明らかになった。日本の現役では最長になる見込みで、数ミリにこだわる選手が多いなか、異例のチャレンジだ。パワーヒッターではない40歳超のベテランが長尺バットを使いこなすこと自体が驚きだ。

 「ギャンブルとは思っていない。とりあえず(来春の)キャンプまではこれでいこうと思っている」

 すでに神戸での自主トレで年末から試し打ちに入っている。キャンプで感触がよければオープン戦、公式戦にも持ち込むことになる。日米で頂点を経験した百戦錬磨の理論派らしいアイデアだった。

 「僕は打つときに余計なことをしてしまう。器用すぎるというかね。バットが出るのが早いし、手だけで球に合わせてしまうところがある。この長さのバットはバランスよく上半身と下半身を使わないと振れないから。外角に対応するため、とかでは全くない」

 長尺バットといえば、初代ミスタータイガース藤村富美男が愛用した「物干しざお」が有名。93~94センチともいわれる伝説のバットには及ばないが、こちらも十分なインパクト。公式戦で使えなかったとしても、フォーム固めには役立つ。プロ20年生はまだ進化を求め、挑戦を続けている。

 「大勝負?

 いやいや遊んでいるだけ(笑)。まあ、年齢を考えてみなよ。やることやらないとさ」。9年ぶりに日本復帰した昨年は期待に反して53試合出場。進退がかかる42歳シーズンを異色の相棒とともに迎える。

 [2011年1月4日11時24分

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