巨人のドラフト1位ルーキー沢村拓一投手(22=中大)が12日、同世代で日本ハムにドラフト1位で入団した斎藤佑樹投手(22=早大)に関する質問を封印するように報道陣に訴えた。この日、川崎市内で行われた巨人の新人合同自主トレの第2クールがスタート。日本ハム斎藤佑が「仲間」を持っているならば、巨人沢村は「己」を持っていると言えそうだ。

 決して悪びれるわけではない。その声に怒りが交じっているわけでもない。質問者に、そして囲んだ報道陣に訴えるように、沢村は、はっきりとした口調で訴えた。「同世代のこと、聞かないでもらえますか。関係ないですから。自分は、自分ですから」。「同世代」とは、同じくドラフト1位で日本ハムに入団した斎藤佑のことを指していた。

 11日は、巨人の新人合同自主トレは休みだった。つかの間の休息に、テレビのスポーツニュースを見れば、鎌ケ谷の2軍宿舎に入寮した佑ちゃん一色だったはず。この日のスポーツメディアもやはり佑ちゃん一色。巨人のドラフト1位の目には、その光景がどう映ったのか-。練習後に、前日のテレビなどの報道を見たか否かを問われると「見てないです。興味もない」と言い切り、報道陣への訴えにつながった。

 昨春の早慶戦を観戦するなど、斎藤とは個人的な交流もある。ただ、初めてのキャンプに向け「ケガだけはしないように」というトレーニングコーチの指示の下、着実に体作りをしている真っ最中。「巨人沢村」としての1歩1歩に集中したいという主張だった。

 第2クールのこの日から、練習に遠投が加わった。40メートルのキャッチボール後に70メートルまで距離を延ばして15分。ブルペンよりも遠投で調整するのを好むと話す。「(昨年)12月中旬以来、1カ月ぶりですね」と、久々の遠投に気持ちよさそうだった。ブルペン入りについては「投げようと思えば、いつでも投げられる」と話すものの「焦る自分を抑えながら、段階を踏んでいきたい」と、あえてペースを速めない。14日には、原監督がジャイアンツ球場を訪れ、新人をチェックするが「アピールしようとする時期ではない。キャンプに入ってからです」と、アクセル自重を強調した。

 14日の原監督ら首脳陣の練習視察、さらに17日のスタッフミーティングを経て、キャンプ1軍、2軍の振り分けが決まる。「(キャンプは)1軍に行きたいですし、(1軍)スタートしないといけない責任というか、自覚を持っています」と、周囲の期待に応える意思を示した。巨人の将来を背負うべきドラフト1位は、己を持っている。【金子航】

 [2011年1月13日8時6分

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