中日の選手会合同自主トレが始まった15日、会場のナゴヤ球場に“窃盗犯”が忍び込んだ。練習終了間際の正午すぎ、ネット裏の記者席が騒がしくなった。黒いコートを着用し、記者席にいた初老の男が、報道陣立ち入り禁止となっている選手サロンで食事をしていたことが判明。不審に思った球団関係者が男にあいさつすると、堂々と「NHKのディレクターです」と名乗ったという。

 しかし、球団関係者がNHKの取材班に確認すると、該当者に心当たりはないという。球団側が身元確認を進めているうちに男は逃走。樋口マネジャーが快足を飛ばし、球場の近隣で捕まえると、男は体を震わせながら土下座して謝罪。その際、ポケットからボールが2個こぼれ落ちた。

 男は「山田一利、60歳、自営業」と名乗り、「野球が近くで見たかったんです」と泣き落としに出た。しかし、一瞬のスキを突いて民家の生け垣を乗り越え、再び逃走。結局、そのまま姿をくらました。

 球団側は「ボールも戻ってきたし、警察に届けることはしない」と静観の構えだが、すぐに警備を強化し、報道陣にも再度、取材パスの着用の徹底を通達した。“事件”を伝え聞いた選手会長の森野将彦内野手(32)は「とんでもないこと。そういう人のおかげで、一般ファンが(球場スタンドに)入れなくなってしまうかもしれない」と怒り心頭だった。

 [2011年1月16日7時39分

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