日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が24日、異例の“実戦デビュー戦KO”願望を明かした。2月1日からの沖縄・名護キャンプ中に行われる対外試合では、あえて「打たれる」ことでプロのレベルを体感し、開幕1軍に向けた公式戦に備えて調整を進めていく構え。千葉・鎌ケ谷での新人合同自主トレでは3回目となるブルペンに入り、初めて捕手を座らせ、7割ほどの力で28球を投げた。

 2月の名護キャンプで、対外試合での実戦デビューが濃厚なルーキーは、すでに老練な調整法を思い描いていた。

 斎藤佑

 (デビューの)相手はどこでもいいですけど、最初は打たれておきたいんです。大学生が打てなかった球を(プロの打者は)どう打ってくるのか。確かめたい。

 キャンプ中の実戦は、開幕1軍入りを狙う投手にとっては、数少ないアピールの場。ローテーション入りが確約されているベテラン以外は結果を追い求めてしまいがちで、ルーキーとなればなおさらだが、斎藤佑は違った。

 例年、春先の練習試合やオープン戦で、新人や若手投手が好投を続けるケースがある。経験豊富なプロの打者が、情報の少ない相手の特徴をつかむため、球をじっくりみていくからだ。“勘違い”をしたルーキーは、シーズンに入ると痛い目に遭わされる。2月中の実戦はあくまで「エキシビション」と斎藤佑は心得、目先の結果よりも、長い目で、厳しい世界を生き抜くすべを身に付ける考えだ。

 そのための準備を着々と進めている。この日は、合同自主トレで3度目のブルペン入り。初めて捕手を座らせ「楽しいですね。(打者が立っている)イメージがわきやすい」と振り返った。28球を投じたが「6、7割くらい」と依然マイペースで、変化球はスライダー3球とカットボール1球のみ。直球主体で、制球を重視し、内外角に投げ分けた。「(試合で)真ん中に投げることは基本的にないので。キャンプ、実戦に向けての練習ですから」。見守った山田GMは「(捕手が)座っても、コントロールにばらつきがない」と評価した。

 投球練習後は、外で待ち構えていたファンの前でサングラスを外し、黄色い歓声を浴びた。「実戦でいい感覚で投げられるように準備するだけです。この時期なので、焦る必要はないです」。人気も、“思考”も、やっぱり規格外だった。【木下大輔】

 [2011年1月25日9時15分

 紙面から]ソーシャルブックマーク