2月1日のキャンプインを目前に控えた西武がダブルパンチに見舞われた。鹿児島と宮崎の県境にある霧島山の新燃岳が26日に52年ぶりに噴火し、1軍キャンプ地の宮崎・南郷は降灰で真っ白になっている。さらに不動のレギュラー栗山巧外野手(27)が2月1日に左慢性副鼻腔(びくう)炎の内視鏡手術を受けることになり、1軍キャンプ参加を見送ることが決まった。27日、埼玉・所沢で出陣式を行いV奪回の誓いを新たにしたチームに、アクシデント発生だ。

 降って湧いたような不運が重なった。宮崎・南郷に火山灰が降り始めた26日、午後6時ごろに噴火警報レベルが入山規制を示す「3」に引き上げられた。南郷では10メートル先が見えず、上を向けば目に痛みを感じる状態で、マスクをし、傘を差して歩く人もいたという。27日も地下のマグマ活動を示す「火山性微動」が続く。

 練習を行う南郷スタジアムでは前日から宮崎入りしたグラウンドキーパーが灰の除去作業を完了した。08年春季キャンプで桜島の火山灰被害に見舞われながら日本一に輝いた渡辺監督は「すごいみたいだね」と、それほど心配していない。だが、宮崎地方気象台は「これだけの量は霧島山観測開始以来初めて。今後も注意して見守る必要があります」と見解を示しており、油断はできない状況だ。昨秋には屋根付きのブルペンが完成しており、投手陣の練習への影響は少ないとみられる。だが、グラウンドを使う野手はそうはいかない。降灰で顔を上げられなければ、ノックも受けられない。

 さらにこの日、昨季フルイニング出場を達成した栗山が手術を受けることを発表。出陣式に参加した栗山は「今年に入って症状がひどくなった。(鼻がつまって)頭痛やボーッとすることがあって…。昨日(26日)精密検査をしたらすぐにでも手術をした方がいいと言われた」と経緯を説明した。術後は1週間の安静と1週間の自宅療養が必要とみられ、2軍キャンプへの参加もしない方向だ。キャンプインと同じ日になった手術について「この時期で申し訳ない。自己管理の甘さです」と自らを責めた。

 栗山自身はオープン戦での復帰を目指しているが、渡辺監督は「キャンプ中はたぶん無理。オープン戦の途中から復帰できれば最高だけど、最悪開幕に間に合えばいい」と覚悟している。天災と主力の離脱という“ダブルパンチ”。それでも、想定外の事態すら力に変えて、覇権奪回へ突き進むしかない。【亀山泰宏】

 [2011年1月28日8時32分

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