ビッシビッシいくぞ!

 広島に新加入の豊田清投手(39=巨人)が“ムチ”を使った「常勝ライオンズ流」トレで勝負する。29日、沖縄市野球場での合同自主トレに参加。プロ1年目の93年に西武で学んだゴムチューブトレーニングを積極的に行った。肩作りのため、18年継続してきた西武黄金期の練習法を若鯉にも伝授だ。

 90年からリーグ5連覇した西武黄金期の「エッセンス」は、豊田に受け継がれていた。練習の最終メニュー。若手の今井とともに、細いゴムチューブを手にくくりつけた。上下に揺らしたかと思えば、肩をぐるぐると回して、縄跳びのような動作も行う。肩に刺激が加わり、ベテランの表情は苦しさでゆがんだ。

 豊田

 西武時代からやってきた。鹿取さんとか…。いまでは俺くらいしかやっていないでしょう。キャンプで肩を作るためのトレーニング。18年間やってきているトレーニングだから、俺にとっては正解だよ。

 最近ではあまり見ない珍しい練習光景だが、プロ19年目を迎えた豊田にとってはルーティンだった。肩関節の可動域を広げるための練習法でプロ1年目の93年、西武時代に習得したもの。当時は黄金期の真っただ中。秋山、清原の「AK砲」だけではない。MVPの工藤のほか石井丈、郭泰源、潮崎、鹿取らが名を連ねる投手王国だった。ルーキーの豊田は1軍登板こそ果たせなかったが、活躍するためのヒントを得ていた。

 ゴムチューブがさまざまな方向に伸びて筋肉も引っ張られるため、いろんな角度から肩に刺激が加わる。「ストレッチにもなる」と豊田。6年目右腕の今井とともに行うことで、常勝軍団の「エキス」を若手に伝える。合同自主トレで、ともに行動する機会が多い今井も「トレーニング方法とか学ぶことは多い」と話すなど、若手中心のナインに好影響をもたらしている。

 昨季は16試合登板にとどまり、11月に巨人を戦力外になった。コーチ就任の打診を断り、あくまで現役にこだわった。オフは練習を継続。この日は約60メートルの遠投で力強い球を投げ、肩の仕上がりも順調だ。

 豊田

 遠投でしっかり投げられれば、ブルペンでも投げられる。もっと低い軌道で投げられるようにしたい。球の回転も大事です。

 キャンプでもブルペンでの投球練習に固執せず、遠投などのキャッチボールを重視する。02、03年と2度セーブ王に輝いた実力者は「レオ流」にこだわり、新天地で光を求める。【酒井俊作】

 [2011年1月30日9時44分

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