<オープン戦:巨人1-4広島>◇19日◇サンマリン宮崎

 若ゴイの好投とともにオープン戦が開幕した。広島2年目の今村猛投手(19)が巨人戦に先発し、強力打線を3回2安打無失点に抑えた。緩急をつけた投球を目指し、エース前田健太投手(22)らのカーブを見て研究した成果を見せた。昨季は1軍デビュー戦で満塁本塁打を浴びるなど大きな壁にはね返された09年のセンバツ優勝投手が、開幕ローテーション入りへ大きく前進した。

 1歩も引かなかった。相手は小笠原、ラミレス、阿部の並ぶほぼフルメンバーの巨人打線。今村は登板が決まってから「インコースを思い切り突きたい」と宣言した通り、初回、坂本には内角にシュートを投げ込んでバットをへし折り、その直後にスライダーで空振り三振に切ってとった。予定の3イニングをヒット2本、奪三振3の無失点にまとめた。12日の練習試合(対日本ハム)と合わせ、通算5イニング無失点となった。

 「ちょうどいい緊張感の中で投げることができて、しっかり集中できました」。重圧のかかる中で、特に威力を発揮したのは今季から実戦に投入したカーブだ。最速は137キロだったが、緩急差を使い、打者のタイミングをずらして的を絞らせなかった。「思ったよりうまく使えました。高校時代はカーブは使っていませんし、昨年も全然投げていません。でも、長いイニングを投げるには速い球ばかりではダメ。いい投手はカーブをうまく使っていますからね」と言った。

 清峰高3年の時にセンバツを制した。状況に応じて力を加減する抜群の投球術が光り、09年にドラフト1位で入団した。しかし昨季は、1軍初登板で満塁弾を食らうなど苦しんだ。その壁を突き破るための1つの答えがカーブだった。チームには沢村賞投手の前田健がいる。カーブにこだわりをもつエースの投球を、ブルペンなどでつぶさに見て研究した。「前田さんは特長的です。しっかり腕を振って、あとから(ボールが)出てくる感じ。それに少しでも近づけたいです」と2年目の飛躍を目指す。

 課題を克服し、進歩を見せる右腕に野村監督は「まだまだこんなものじゃないはず」と期待を寄せる。開幕ローテーション入りについて、大野投手チーフコーチも「そういう気になるよね」と言う。公式戦の開幕は約1カ月後の3月25日。19歳の若ゴイがスイスイ滝を上っていく。

 [2011年2月20日9時3分

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