<オープン戦:日本ハム3-1ヤクルト>◇2日◇札幌ドーム

 本番モードの佑ちゃんがベールを脱いだ。日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が、ヤクルトとのオープン戦に5回から3番手で登板し、プロ最長の2回を1安打無失点に抑えた。本拠地デビューとなった3度目の実戦登板で、本番を見据えて変化球を本格解禁。スライダーを7球投じるなど変化球の割合を増やし、6回1死二塁のピンチでは早大の先輩青木を遊ゴロに打ち取り、新たな一面を見せた。これで実戦3試合無失点と開幕ローテ入りへ前進した。

 本拠地のどよめきが歓迎の証しだった。5回表、斎藤の名前が場内アナウンスされると本拠地がどよめいた。変化球解禁を宣言していたが、最初の打者畠山には北海道のファンにあいさつ代わりのオール直球勝負だ。甘く入った4球目をとらえられ、ヒヤリとしたが、先輩の堅守が待っていた。「最初はホームランかなと。糸井さんがファインプレーをしてくれて助かりました」。ライナー性の中堅後方の当たりを糸井がフェンス際で好捕。これで流れに乗った。

 新たに試したのは得意のスライダーだった。全24球中のうち7球。6回1死二塁の早大の先輩青木との初対決では初球から投じた。その後ツーシームとスライダーはボールになったが、ボールを動かし、最後はツーシームで打ち取った。「(プロの打者が)どこをどう打つか分かってきました。打つべきところはジャストミートしている。勉強になりました」と収穫を得た。続く田中を、この日最速の144キロで二ゴロに仕留めて2回1安打無失点。巨人三沢スコアラーは「コースに投げているからアウトになる当たりになる。スピードにも差をつけている」と直球系の制球力に感心した。

 新たな課題も見つかった。スライダーでストライクを取ったのは青木の初球のみ。ほかの6球は制球されず、打者も反応しなかった。「大学時代より手応えがない。曲がりが早い、ワンバウンドも早い」。さらに6回にはけん制球がボークを取られた。「大学の時は取られなかったですけど、やっぱり厳しいのかなと思いました」。吉井投手コーチは「ランナーを刺してやろうという気持ちが審判に伝わっちゃったかな。あのときは間も長かったしね。でもうまいよ」と問題にしなかったが、今後の宿題になった。

 アクシデントにも動じなかった。本来は6回からの予定だったが、5回からに変更。梨田監督は「(4回から登板の)木田が親指の爪が…。急きょだったけど本人も(肩が)出来ているということだったので、時間もあったし、自信もあったんでしょう」。指揮官の思いに応えた。

 “本拠地デビュー戦”に肩だけでなく、登場曲もしっかりと準備していた。「そうさ~、100%勇気--」。自身の名前にかけた曲で、この日朝、アイドルグループが歌うヒット曲「勇気100%」に決めた。助言者は松坂で、西武時代に使用していた登場曲だった。「入場曲は初めてだったので、違和感はありました。今後はまた考えたい…とりあえずこれでいきます」と話した。早大の先輩青木との“初対決”は遊ゴロに抑えた初の本拠地マウンド。佑ちゃんが、開幕へ1歩足を進めた。【木下大輔】