<オープン戦:中日6-2ヤクルト>◇9日◇小牧

 やっぱり、開幕投げたい!

 中日中田賢一投手(28)がヤクルト戦に先発し7回4安打1失点と圧倒した。開幕投手レースで頭一つ抜き出た。開幕についての発言も微妙に軌道修正。派手なコメントを意識的に抑えてきたが、この日は違った。

 「目指すべきところだとは思う。そこまでいけたらなと思います」。

 普段は控えめな男が見せた意思表示だ。その発言が大げさではないことは投球が物語っていた。

 4回に先頭の飯原に本塁打を浴びるまではパーフェクト。140キロ台後半の直球は、5回以降も衰える気配はなかった。それどころか、さらに勢いを増しているようにも思えた。

 「ここ数試合はまっすぐが走ってなかったので、まっすぐが走りだしたのは良かった。キャンプの疲れも取れてキャッチボールでも良い球が出てきた」。

 伸びのある直球に無尽蔵とも思える体力。完全に持ち味を取り戻していた。前回登板した2日広島戦(マツダ)では4回2安打1失点と結果を残したが、変化球に頼った投球に満足がいかなかった。1週間の調整で球の回転を繰り返し確認。「暴れ馬」の異名をとったいきのいいストレートをよみがえらせた。

 目標があるからこそ結果が出せる。それは本人がもっとも理解している。自身初の栄誉へ。中日のエースナンバーが言葉と結果で表現した。【桝井聡】