<ソフトバンク4-9西武>◇16日◇福岡ヤフードーム

 早くも出たぞ、今季初の“おかわり”弾だ。西武中村剛也内野手(27)がソフトバンク戦で3ラン2発の6打点と爆発した。1回、摂津から左翼へ2戦連発となる2号、5回には再び摂津から3号を放った。今季から低反発の統一球が導入されたが、おかわりパワーの前には関係なし。豪快な2発で、前日15日に延長サヨナラ負けした嫌なムードを1日で吹き飛ばした。

 統一球もおかわりくんの前では無力だった。まずは1回無死一、二塁。高めに浮いてきたカーブを逃さない。「フェンスに当たると思った」と言いつつ、打球はしっかりと左翼席最前列に届く2号3ラン。2試合連発でもまだ腹八分目。5回1死二、三塁から再びの3号3ランを放った。シンカーをとらえた今度は「打った瞬間いくと思った」という会心の一撃。救援から転向して初先発だったソフトバンク摂津の心を折るには十分な2発だった。

 統一球が導入された今季。本塁打減少の見方を吹き飛ばすように、開幕前の実戦から本塁打を量産してきた。公式戦に入っても、そのペースは変わらない。結果を出しているからこそ言い切れる。「何度も聞かれるけど(統一球は)関係ないでしょ」。渡辺監督も「あの辺のバッターは芯に当たれば関係ない。今日は下(下半身)を使ってうまく打ったサンペイ(中村)の技術だよ」と支持した。

 ホームラン談話などでの“素っ気ない”コメントから、感覚に任せた天性の長距離砲に見られがちだが、実は相手の分析などにたけたチーム屈指の理論派だ。試合前には摂津について「リリーフの時は変化球が全部低めに決まっていたような感じだった。先発になったらそれがどうなるか」と話していた。それだけに、1打席目に浮いてきた変化球は絶好球だった。

 昨年の秋季キャンプ。中村が室内練習場で同い年の栗山といつものように打撃論議に花を咲かせていた。そこにちょうど練習を終えた涌井が通りかかり「交流戦でホームラン打ってみたいんですけど、どうやったら打てますか?」と冗談半分に質問すると「手首痛めるかもしれんで」と言いながら手首を押し込む使い方などをレクチャー。圧倒的な飛距離を生むコツの一端を伝授した。理詰めの飛ばし屋。それを証明するような即席打撃教室だった。

 開幕4試合目での今季初“おかわり弾”。「自分自身いいスタートが切れたとは思わない」と言うが、昨季はケガで調整が遅れたこともあって45試合目にようやく出ただけに、順調さを裏づける。自身初となる50本の大台を狙うシーズン。障害があるとしても、少なくともそれは統一球ではない。【亀山泰宏】

 ◆中村の愛称「サンペイ」の由来

 お笑いタレント三瓶に似ているから。チームやファンの間で定着している。