<中日0-7広島>◇29日◇ナゴヤドーム

 広島の新外国人ブライアン・バリントン投手(30)が、あとアウト6つでノーヒットノーランの快投を演じた。7回まで中日打線を四球1個の準完全ペース。8回、和田に左前打され大記録はならなかったが9回を2安打完封した。広島の助っ人投手としては初の来日3連勝。チームも3連勝でヤクルトと並ぶ首位に返り咲いた。ベンチの誰もが意識していた。野村監督は言う。「誰も口にはしなかった」。8回表の攻撃でバリントンが自ら2点タイムリーを放ち7-0と勝利を確実にした。その裏、先頭和田にスライダーが甘く入り初安打を許した。「意識はした。アメリカ時代も経験がないからね。完封勝利も初めてなんだよ」と笑った(実際は03年1Aで1完封)。

 02年のドラフトで全米全体の1位指名を受け、大きな期待を背負ってプロ入り。「周りも、自分も期待する。そういうプレッシャーはあった」という。だが、伸び悩んだ。05年にメジャーに上がるが、その後もマイナーとの間を行ったり来たり。マイナーではシーズン中の休みが5日しかなく、バスに10時間揺られる過酷な移動も経験した。昨季メジャーで初勝利を挙げたが、その状況を変えるためにやってきた日本で、最高のスタートを切った。

 「僕の仕事はチームに勝ちをつけること。今はチームもいい野球をしている」と胸を張った。昨季2勝10敗と苦手のナゴヤドームで快勝し、04年以来の貯金「5」で首位タイに再浮上。指揮官も「見事な投球をしてくれた。最高の形の試合だった」と頼れる助っ人を絶賛していた。【高垣誠】