<オリックス1-0日本ハム>◇4日◇京セラドーム大阪

 京セラ男と呼んでくれ!

 オリックス寺原隼人投手(27)が今季2度目の完封で2勝目を挙げ、チームの日本ハム戦連敗を7で止めた。9回6安打7奪三振で、自身初の1-0完封。リーグ最低打率に苦しむ野手陣の好守にも助けられた。本拠地京セラドーム大阪では18イニング無失点の「ドーム男」が頼もしい。

 一瞬、心臓がドキンとなる幕切れだった。9回2死。快音を残した稲葉の大飛球を全力疾走の坂口がフェンス際、ジャンピング捕球。寺原はヘロヘロと両膝に手をつき、半ば腰砕けだ。

 「最初と最初に坂口に助けられました。超ファインプレー。あれだけ守備がうまいと助かります」。

 1回も抜けていれば先制点という小谷野のライナーで坂口の美技が飛び出した。仲間とハイタッチする手に自然と力がこもった。

 最速150キロの直球、スライダーを低めに集め、得点圏に走者を出したのはわずか3度。1四球だった。

 「野手からも首脳陣からも信頼をなくしてはだめ。信頼されるような投手になりたいですね」。

 打線はリーグ最低打率に沈むが、8回は女房役の伊藤が代走村田の盗塁を刺すなど守備で助けてくれた。ひりつく緊張感を覚えた自身初の1-0完封で、チームの仲間との信頼関係も強まった。

 寺原の2完封はいずれも京セラドーム大阪。他球場では2試合13失点と二重人格のような数字だ。

 「今日は5回ぐらいから踏みだす足を修正した。重心を低くして上半身もついてきて、腕も上がり、球が乱れることがなかった」。

 左足のソフトな着地感を大切にする。本来はハードに固めるマウンドの土がこの日は緩められた。地の利を生かした仕様が「ドーム男」の足元を支えた。

 3日の初戦は平野、岸田を投入した末に延長負け。ショックを吹き飛ばす快投に岡田監督も辛口を封じた。「今日の勝ちによって、明日やな。連勝がなかなかない。そのへんで勢い乗れんところあるし、そういう意味でこういう勝ち、大きいよ。先週から点、入ってへんから、1-0は大きいよ」。今日5日は12球団最遅で今季初の連勝を狙う。【押谷謙爾】