<日本ハム1-0中日>◇8日◇札幌ドーム

 ダルビッシュが投げれば、中田が打つ。日本ハム中田翔内野手(22)が7回無死一塁で0-0の均衡を破る左越えの決勝適時二塁打を放った。ダルビッシュが先発した試合での決勝打はこれで4試合目。兄貴分のパ・リーグタイ記録となる3試合連続完封をしっかりアシスト。チームを勝利に導く仕事を果たし、4番の座も板についてきた。

 筋肉隆々の中田が、「剛」ではなく「柔」で決勝打を放った。太い左腕1本で、バットの軌道をボールに合わせ、さばいた。中日チェンに2ストライクと追い込まれた7回無死一塁。143キロ直球の直後、9キロ遅いスライダーに、体勢は崩されても視線はぶれなかった。

 ライナーで飛んだ打球は左翼フェンスを直撃。クッションボールが転がる間に、一塁走者稲葉がホームに駆け込んだ。「泳ぎながらもしっかりバットを返すことができたから、あそこまで飛んだと思う。(自分の)1点でチームが勝てたのでよかったです」。好投手同士の投げ合いで、試合を決する、4番の仕事をやってのけた。

 この回の攻撃直前、中軸2人で闘魂を注入し合った。前を打つ先頭の稲葉に「ここ、いきましょうよ」と一言。先輩も「おう。この回決めるぞ!」と応えた。宣言通りに四球を選んで出塁したキャプテンの意気を、無駄にはできない。「それでまた気合が入った。いい形でまわしてくれたので、自分も同じように次につなごうと思いました」。1軍野手最年長&最年少コンビで、緊迫の投手戦に終止符を打った。

 ダルビッシュ登板試合では今季4度目の決勝打。ストイックに、野球へ取り組む「アニキ」の姿勢は、“弟”なりに見習っている。恵まれた体格で大食漢のイメージがある中田だが、実は起床から試合終了まではほとんど食物を口にしない。エネルギー源となる果物類などがメーン。「食べると動きとかキレが悪くなる」。1、2年目は腹一杯で試合に臨んでいた中田だが、食事にも気を使う先輩の姿に影響を受け、グラウンドでベストパフォーマンスを出すことを追い求めてたどりついた結果だ。

 その「アニキ」とはお立ち台で今季2度目の“競演”を果たした。くしくもこの日は、電機メーカーの冠がついた「Brotherデー」。「もっともっと頑張って、投手の方を助けられる打撃をしていきたい」。頼れる弟は、力強く誓った。【本間翼】