<日本ハム1-0中日>◇8日◇札幌ドーム

 9回2死、中日の4番和田一浩外野手(38)のバットは153キロのストレートと衝突すると「グシャッ」と鈍い音を立てた。打球は遊撃へ力なく転がった。最後まで圧倒的なパワーとスピードと制球力を維持し続けたダルビッシュに2戦連続完封負けを喫した。

 「今日はどっちか1点取った方が勝ちだ。そういう試合だよ。予想通り」。

 落合博満監督(57)はロッカー室を出てくると無表情のまま淡々と言葉をはき出した。両リーグを代表する投手の投げ合いは7回、先に四球を与えたチェンが1点を失い敗れた。戦前から指揮官が予想していた通りの「1点勝負」。皮肉にも、敗れたのは自軍だった。

 その「1点」を奪うために選手もベンチも必死に戦った。7回、先頭和田がヒットが出塁すると落合監督は5番佐伯に送りバントを命じた。初めて得点圏に走者を進めたが、平田が一邪飛、森野が空振り三振。唯一の好機も実らなかった。

 「この間よりは速くなかったけど、丁寧に投げていた。攻略法?

 わかりません」。試合後、和田は首を横に振った。「チャンスボールは1球だけ。あとは全部厳しいコース。スライダーなんかは直球と同じ軌道だった」。2試合連続サヨナラ弾など絶好調男・平田もうつむいた。これで、ダルビッシュには公式戦38イニング連続無得点と、お手上げだ。救いは夜が明ければ、また新たな戦いが待っていることだろう。落合竜の目標はダルビッシュに勝つことではない。そう思うしかないほどの完敗だった。【鈴木忠平】