<中日5-3阪神>◇6日◇ナゴヤドーム

 まさか、まさかの暗転だ。中日の自滅に乗じ3点を奪った阪神が6回、悲劇に見舞われた。2番手福原忍投手(34)が小池に逆転満塁弾を食らうとは…。真弓明信監督(57)は無死満塁として押し出し四球まで続投させた先発鶴直人投手(24)の継投を反省した。鬼門ナゴヤドームの“小池にはまった”重~い黒星。悔しすぎるけど、今日は3連敗阻止の喜劇を頼みまっせ。

 逃した勝利の重みのせいか、真弓監督は悔しさをあらわに会見場に現れた。相手のミスに乗じて、3点のリードを奪った。快勝モードが一転したのは、直後の6回裏。2番手福原が痛恨の逆転満塁アーチを浴びたのだが、指揮官は継投のタイミングを省みた。

 「う~ん…、ちょっとなあ。しのいでほしいところだけど、もうちょっと早く代えてもよかった」。

 自身の決断を悔やんだ。

 鶴の続投は間違いではなかった。5回までテンポのよい投球を見せて、中日打線を2安打無失点に抑えていた。球のキレもあった。ところが6回に突然の乱調が待っていた。先頭の大島、岩崎達に連打を浴び、無死一、二塁。「疲れてはいなかったが、精神的な弱さ、甘さが出たかもしれない」。この時点で、ブルペンはリリーフを準備。継投も選択肢に入っていた。真弓監督は鶴にマウンドを託し、ここが後悔のポイントだった。その結果、森野、和田に連続四球で1点を失う。後を投げる投手に重圧がかかった。

 先発投手には、できる限り、長いイニングを投げてもらう。これが就任以来の指揮官の理想だ。かつてはJFKを中心に救援陣の登板過多が目立っていた。負担軽減とエース育成を目指し、完投を願っている。ただ、その一方で、分が悪いナゴヤドームで「1勝」がほしかったのも事実だ。5回に敵地の連続無得点を「28」で止め、ようやく勝利が見えてきた矢先。鶴のこの日のデキを見ると、継投時期が鈍るのも無理はない。理想と現実の間で、指揮官の心は揺れた。そして6回裏に猛虎ファンから、悲鳴が上がった。

 「鬼門」では、どんなシナリオを描いても、悲劇になってしまうのか。ナゴヤドームでの今季初戦は4月15日。相手の追撃を振り払って、5-4で競り勝った。今年こそ、の期待は膨らんだが、以降4試合で3敗1分け。2度のサヨナラ負けで勝ち星から見放されている。「相手のミスもあったけど、粘りながら、点を取れた」。4番新井のブレーキは不安要素だが、悪い材料ばかりではない。同一カード3連敗を避けるためにも、上を向いてプレーする必要がある。【田口真一郎】