第7の男が、後半戦のカギを握る!

 ソフトバンク大隣憲司投手(26)が、14日の楽天戦(Kスタ宮城)で今季初先発する。昨季までの4年間で25勝を挙げている左腕だが、今季は開幕2軍スタート。若手にローテを奪われている左腕が、9連戦の谷間で巡ってきたチャンスで意地の投球を見せる。もう期待は裏切りません!

 9連戦のカギを握る「第7の男」が、並々ならぬ決意でマウンドに上がる。大隣が、14日の楽天戦に今季初先発予定。12日から始まる今季初の9連戦で、ローテの谷間を埋める役割を指揮官から担われた。ようやく訪れたチャンスを死に物狂いでつかみにいくつもりだ。

 「やるしかない。勝ちにいくのは当たり前だけど、その先へつながる結果を出したい」。

 「7番目」で終わるつもりは毛頭ない。08年にローテーション投手に定着し、昨季まで3年連続で20試合以上に登板。08年はチーム勝ち頭の11勝を挙げた。5年目の今季は、打線の援護にも恵まれず4勝止まりだった昨季の巻き返しに人一倍燃えていた。だがインフルエンザや父親の他界もあり、まともなキャンプを送れず山田、岩崎の若手に開幕ローテを譲る形となった。

 「年下の投手が活躍して、当然悔しさはある。ただすべては自分の責任。結果を出して取り返すしかない」。

 プライドだけが、熱い思いをたぎらせているのではない。2月に父の繁さん(享年69)が急性心不全のため死去。昨季は4勝9敗と大きく負け越し、エース級の活躍を父親に見せることができなかったことに無念さを感じている。死去直後の春季キャンプでも「自分が勝つことしかないと思っている」と悲壮な覚悟を見せた。まだ天国の父親には白星をプレゼントできていない。今回のマウンドにかける思いは、並々ならない。

 秋山監督も「9連戦用の投手」としてだけではない期待をかけている。調整登板となった8日のウエスタン・リーグ阪神戦では4回6失点。それでも指揮官は「打たれるのは関係ない。フォームとかも試しているところだから」と、左腕に託す考えは不変だった。

 ここまで先発6投手で計36勝を挙げるなど、今季のローテーションは盤石だ。第7の男が、好投で指揮官を悩ませれば、Vへの道はさらに近くなる。【倉成孝史】