<阪神5-9横浜>◇30日◇甲子園

 横浜ターメル・スレッジ外野手(34)がたった1人で満員の甲子園を黙らせた。2点を追う7回無死満塁。それまで好投していた阪神小嶋のストレートをたたき、会心のグランドスラムをバックスクリーン右スタンドに放り込んだ。3回の先制15号ソロに続く2本目の16号逆転満塁アーチ。8回にはダメ押しの17号3ランを今度は中堅左スタンドに運んだ。5打数5安打8打点の大暴れでチームを大勝に導き「5万人の前でこういうプレーができてとてもいい気分だ」と胸を張った。

 横浜の「新・満塁男」を襲名しそうな勢いだ。6月29日の中日戦でも、結膜炎で直前の2試合を欠場していたにもかかわらず代打で満塁本塁打を放った。さらに日本ハム時代、09年CS第2ステージ第1戦で楽天福盛から放った逆転サヨナラ満塁本塁打は、昨年日本野球機構(NPB)が実施した「名勝負・名場面」の12球団アンケートで歴代1位に選ばれた。ここぞという場面での爆発力はとてつもないものを秘めている。

 阪神に追撃ムードが生まれた9回1死一、二塁では、代打桧山の打球をダイビングキャッチする美技で自らヒーローの座を守った。9回引き分けに終わった前夜は出場機会がなかったがその鬱憤(うっぷん)を晴らす大暴れ。

 尾花監督は「今日はスレッジデーだね。攻守に大活躍。休養の効果が出たね」と褒めちぎった。1日で8打点を加え、今季49打点はリーグトップに躍り出た。強力助っ人は「日本に来て一番いい試合だった」と汗をぬぐいながら笑った。【大塚仁】