<横浜1-0中日>◇14日◇サーティーフォー

 横浜三浦大輔投手(37)が、新女房のサポートを得て健在ぶりを示した。1軍では初となった黒羽根利規捕手(24)とのコンビで序盤から快投。中日打線を7回1死まで無安打に抑え、8回途中まで2安打無失点で1カ月ぶりの今季2勝目、通算140勝目を挙げた。黒羽根にとって三浦は小学校6年だった99年、地元横浜のイベントで野球少年の代表として花束を渡した憧れの存在。番長と若き相棒の新コンビがチームの未来に光をともした。

 動じない三浦番長は頼もしかった。7回1死一塁。22人目の打者森野に、87球目を初安打されノーヒットノーランの野望はついえた。リードはわずか1点、一転して1死一、二塁のピンチ。それでも「すぐに切り替えられた。自分であと4回、あと3回ってベンチで言ってたぐらいだから」と、さすがの度胸をマウンドで示した。続く和田を二飛、平田を空振り三振に仕留めると、グラブをぽんとたたく会心のしぐさを見せた。

 今季初スタメンとなった黒羽根との、1軍での初コンビが中日打線を寄せ付けなかった。最速144キロの速球とコントロール、緩急をつけた投球がさえ、無安打投球が続く。守りでサポートした黒羽根の力は大きかった。4回無死一塁では二盗を試みた大島を強肩で刺した。6回2死でも四球で一塁に出た荒木を、大島への2球目を捕るや一塁へ投げアウトにした。迷いのないリードに引っ張られ、8回途中までを2安打に抑えた三浦も「助かりました。いいリードをしてくれた」と絶賛した。

 黒羽根は「夢がかなった。今日は最高です」と感慨にふけった。横浜出身とあって少年時代から三浦は憧れの存在。上大岡小6年だった99年、野球チームの代表として三浦に地元のトークショーで花束を渡したシーンは今でも鮮明に覚えている。三浦は試合前も当時の昔話をしながら「思い切ってリードしてくれ」と黒羽根に伝えた。その声に11日に1軍登録されたばかりの若武者が応えた。

 三浦は「1度1軍でバッテリー組みたいなって言ってたんですよ」と、13歳下の相棒との好投に不思議な笑みを浮かべた。7月上旬まで戦列を離れた2カ月の間、2軍でともに汗を流しただけに喜びも大きい。逃した快挙には「笑われるかもしれないけど、毎回常に完全試合と思ってマウンドに上がっている。今日は最初に四球を出したからノーヒットノーランと思って投げていた」と意識を隠さなかった。新境地を開拓した新相棒との快投は、次なるチャレンジに向けての大きな収穫となった。【大塚仁】