<ソフトバンク4-1楽天>◇19日◇福岡ヤフードーム

 スピードスターが白星を呼びこんだ。ソフトバンク本多雄一内野手(26)が1回先制につながる今季40盗塁目の二盗に成功した。球団が福岡移転後では初となる3年連続40盗塁を達成。8回に右足負傷でヒヤリとさせたが戦列に戻った。今季6度目の4連勝で、貯金を最多の32とした。小兵もホークスも止まらない。

 場内の拍手を本多が一身に浴びた。8回の守備。二塁上で代走横川と交錯し、右足親指のツメを痛めた。グラウンドではだしになり、患部を抑え込んだ。コーチ陣に運ばれ、ベンチ裏へ。ツメは浮いた状態で、テーピングで抑えた。それでも、グラウンドに帰ってきた。執念の出場。勝利を決めるアウトがヒーローに回ってきた。二ゴロを処理し今季6度目の4連勝だ。

 その足が、大きな先制点を生んでいた。1回、四球で出塁。楽天藤原の投球モーションを、たった2球で見きった。「モーションが大きかった。本当に走っていいのかなと思った」。内川への3球目。楽天の捕手嶋も二塁送球をあきらめるほどのスタートを切った。二盗成功で、今季40盗塁目。楽天聖沢と並んでリーグトップに立った。

 09年43盗塁、10年59盗塁に続いて、3年連続の40盗塁。173センチの小柄な男が、球史に足跡を残した瞬間だ。球団が福岡移転後、3年連続40盗塁をクリアしたのは初の快挙だった。

 スパイクの歯を付け替えるとき、本多は新品を装着するのではなく、ヤスリで研いでから付けるように契約メーカーに依頼している。歯が真っさらなもので感覚が変わるのを嫌がるほど、道具にこだわる。シーズン40盗塁は通過点に過ぎないが、キッパリ言い切る。

 本多

 40があるから、50がある。次は50を目指して、50出来たら、60を目指します。

 節目スチールは得点にも結びついた。二盗後、内川が先制の中前適時打。秋山監督は「1、2番の出塁率が上がって、盗塁が絡んで、内川がかえしてくれる」と必勝パターンを言葉にした。貯金は32にまで積み上がった。気になるのは、今日のゲームの本多出場だ。秋山監督は「ツメが少し浮いているみたい。明日見てからだな」と話した。本多は「大丈夫だと思います」。きっと、今日のグラウンドにも背番号46は立っているはずだ。【松井周治】