<ヤクルト2-4横浜>◇18日◇神宮

 完封負け目前の9回2死から1点を返し、さらに2死一、二塁とチャンスを広げた。ヤクルトの4番畠山和洋内野手(29)が放った打球は、内野に高々と上がる。試合終了と思われたが、横浜筒香が捕球できずに転倒(記録は失策)。2点差に詰め寄り、逆転勝ちを夢見る燕党の興奮は最高潮に達した。

 惜しくも10連勝はならなかったが、最後に粘った。それでも試合後、小川監督の言葉は怒気を含んでいた。ポイントは大飛球の場面。「畠山が二塁にいかないといけない打球。ああいうことをやっていてはダメ。二、三塁だったら守備隊形だって変わる」と厳しく言った。

 全力疾走しなかった畠山は一塁でストップ。2死一、三塁から、最後は武内の大飛球が右飛になって試合は終わった。仮に2死二、三塁なら一打同点で、外野は前進する。武内の大飛球は抜けていた可能性がある。小川監督は試合終了直後、一塁コーチの飯田外野守備走塁コーチを呼んだ。「打ったら走るという基本をしっかりやらないといけない。やるべきことをやらないと、そういうところから、ほころびが出る」と、厳しい表情だった。

 全力疾走しない選手は、外国人、主力関係なく厳しく対処する。リーグ1位の27本塁打を放つバレンティンを怠慢プレーで2日からの巨人戦で3試合連続でスタメンから外した。畠山は「自分で一塁と決めつけてしまった」と猛省。飯田コーチは「やるべきことをしっかりやらないとダメ」と、厳しく指導した。

 10年ぶりの優勝に向けて、圧倒的有利な状況が変わる1敗ではない。その中で、残り試合に臨む姿勢を、あらためてチーム全体に植え付けた。【前田祐輔】