逆転Vの秘密兵器はドラ1左腕!?

 中日の1年目大野雄大投手(23)が3日、投手陣の1軍練習に合流した。首脳陣が見守る中、ナゴヤドームのマウンドで40球を投げ込んだ。1軍昇格は見送られたが今日4日から13連戦がスタート。先発不足に陥るケースも考えられる。遅れてきたドラ1が、1軍に抜てきされる可能性も出てきた。

 他でもない。大野自身が一番驚いていた。吉見、チェンら主力に交じって練習をすると、森ヘッドコーチに呼び止められた。「マウンドで投げるか」。中日に入団してから初めて登るナゴヤドームのマウンド。背後から首脳陣の強烈な視線を感じながら汗だくで腕を振った。直球、スライダー、チェンジアップ。持っている球種をすべて投げ込んだ。

 「ブルペンで投げると思っていたので緊張しました。ピッチングを見たいといって呼んでもらったことはうれしい。思いっきり投げました」

 練習後には大きな荷物を抱えて球場を後にしたことからこの日はどうやら“1日体験”だったようだ。ただ、この時期に首脳陣が1人の選手を呼び出して状態をチェックすること自体が、異例だ。

 森ヘッドコーチは「本人に聞いて」とだけ話したが、2日には今季5勝を挙げている左腕ソトが左腕を痛めて登録を抹消されている。今日4日からは13連戦が始まることもあり、アクシデントが発生すれば先発が駒不足になる可能性もある。そうなった場合の候補として大野の名前が挙がっていることは間違いなさそうだ。

 「やっぱりどういうポジションでも優勝争いにはかかわりたい。チャンスがあれば投げたいですし、もちろん準備はします」

 背番号22は目を輝かせた。左肩に故障を抱えながらその素質を評価されて1位指名で入団した。球団の方針もあり、じっくりと調整を続けてきたが7月から本格的に実戦復帰。2軍の先発ローテに食い込んだ。9試合に登板し3勝1敗、防御率4・84。ウエスタン・リーグ優勝にも貢献した。遅れてきた“佑ちゃん世代”。竜の秘密兵器は「その時」に備えている。【桝井聡】◆大野雄大(おおの・ゆうだい)1988年(昭63)9月26日、京都市生まれ。京都外大西では2年夏、3年春に甲子園出場。佛教大4年の8月に左肩を故障したが、ドラフトでは中日から1位指名を受け入団。6月に実戦デビュー。183センチ、78キロ。左投げ左打ち。