阪神が、新外国人候補としてホルヘ・バスケス内野手(29=ヤンキース3A)をリストアップしていることが23日、明らかになった。右の大砲で、今季32発はインターナショナルリーグの本塁打キング。同じ右打者のマートンがメジャーに復帰するケースに備え、和田阪神の船出を支えるため白羽の矢を立てた。

 猛虎が、和田阪神のスタートに備えて右の長距離砲をリストアップしていることが明らかになった。バスケスはメキシコ出身の29歳で、規格外のパワーヒッター。今季統一球が導入されて、本塁打数が減ったチームにとって、魅力的な選手だ。球団幹部は「いろいろリストアップしている」とバスケスの存在を認めた。

 バスケスは今季、ヤンキース3Aでプレーした。118試合に出場して、打率2割6分2厘、32本塁打、93打点を記録している。本塁打はインターナショナルリーグトップ、打点は同2位のクラッチヒッターだ。メジャー経験はないが、飛距離はまさにメジャー級。選手層が厚い「常勝軍団」ヤンキースに所属しているためチャンスに恵まれなかったが、海を渡って環境を変えれば、実力が開花する可能性は高い。

 阪神では、12勝を挙げたメッセンジャーが残留に大筋で合意している。ただマートン、ブラゼル、スタンリッジの残り3人は去就が微妙。特に安打を量産してきたマートンは、メジャー復帰と阪神残留に揺れている。21日の甲子園最終戦では「もちろん来季も甲子園で、このファンの前で、またプレーしたいよ。でも大リーグでやりたいという気持ちあるんだ」と話している。

 球団はマートンの流出阻止に向けて全力を傾けているが、流出となれば来季から指揮をとる和田打撃コーチにとっても大きな痛手。内野手ではあるが、同じ右打者のバスケスに白羽の矢を立てることは、危機管理として自然な流れだ。

 また阪神では8月に坂井信也オーナー(63=電鉄本社会長)が渡米して、ヤンキースの試合を直接、視察している。バスケスに対しては楽天も興味を示しているが、阪神はヤンキースと良好な関係を築いている。

 ベストはマートンが阪神に残留することだが、手をこまねいているわけにいかない。和田阪神の主力となれる大砲獲得に向け、水面下で準備を進める。