<フェニックスリーグ:ソフトバンク5-1ヤクルト>◇29日◇サンマリン

 ソフトバンク松中信彦外野手(37)が代打の神様になる!?

 右膝蓋(しつがい)骨骨折で離脱していたソフトバンク松中が29日、チームに合流。フェニックス・リーグのヤクルト戦に4番DHで先発し、45日ぶりの実戦復帰を果たした。第3打席で中前適時打を放ち、11月3日に始まるCSファイナルステージでは、代打の切り札になる可能性が出てきた。

 一振りで試合を決めることができる。04年3冠王に輝いた松中が底力を見せた。5回2死一、二塁の第3打席。131キロの直球を中前にはじき返した。右膝の骨折はまだ完治していない。だが、いきなりの実戦復帰で3打数1安打1打点と結果を残した。

 「今日は3打席、立たせてくれた首脳陣に感謝したい。1カ月以上(実戦から)遠ざかったので、なかなかタイミングを合わせるのが難しかった。骨は6割程度しかくっついていない。チームに迷惑をかけないように、やれることをやりたい」

 CSに出たい-。強い気持ちが驚異の回復につながった。9月14日西武戦で死球を右膝に受け、膝蓋骨骨折で全治4週間の診断。一時期は首脳陣の構想から外れていたが、決してあきらめなかった。必死のリハビリで秋山監督を振り向かせた。試合前に話し合い、いきなり先発復帰することが決まると、ここ一番の得点機で結果を残し、勝負強さをアピールした。

 「自分はこれまでCSで悔しい思いをしている。借りを返したい。(起用法は)監督と話し合うが、いい場面で結果を出したい」

 まだ全力で走ることはできない。だが、バットは振れる。CSでは代打の切り札としてベンチに控えれば、対戦相手に恐怖を与えることができる。秋山監督は「あとは走る方だね」。大石ヘッドコーチは松中について「代打として可能性がある」と含みを残した。初のCS突破へ、松中が代打の神様となる。【奈島宏樹】