猛虎が「白紙」から始まる。きょう3日から行われる高知・安芸の秋季キャンプに向け、阪神和田豊新監督(49)が2日に空路で高知に入った。選手を集めた初めてのミーティングでは、「大きく変わる」の大変キャンプを宣言。榎田や小林宏の先発転向も視野に、野手も含めて、ゼロベースの出発を強調した。

 和田阪神がゼロベースで出発する。高知・芸西村のチーム宿舎で、就任以来初めて選手にミーティングを行った。所信表明で飛び出したのは、意外な2文字だった。

 「このキャンプで帰る頃には大きく変わったと言われるくらい、それぐらいの覚悟を持ってやってくれ。大変という字は、大きく変わると書く。ただ変わるだけじゃない。それが大変ということ」

 大化けを求める大変キャンプをスローガンに掲げた。「大変」なのは、選手個々の話だけではない。従来のチーム構成も大きく変化する可能性がある。その一例が榎田、小林宏の先発転向プランだ。中継ぎの役割を担った2人が、来季の起用法は白紙に戻す。藪投手コーチは配置転換について聞かれ、こう答えた。

 「ゼロではない。新たなスタート。可能性を探すキャンプになる。先発、中継ぎの枚数を見て、いい投手から、はめていくということなので」。榎田、小林宏にかかわらず、全体的な見直しに着手する考えだ。

 和田監督が強調したのはゼロベースだ。それは野手にも当てはまる。

 「投手だけでなく、野手も一緒。固定観念を捨てて、可能性があることは、すべてやってほしい。その上で同じポジションになることもあるし、新たな発見もある」

 榎田、小林宏の起用も決定事項ではない。来季プロ2年目の中谷も捕手登録ではあるが、外野手の可能性も模索していく。俊介や柴田ら1軍クラスの選手も、フラットな状態に戻して、取り組ませる方向だ。

 新指揮官も「大変」なキャンプになる。きょう3日のキャンプ初日から、ブルペンに足を運ぶ。「そっちの方が気になると思う。今まではほとんど上(メーングラウンド)にいたけど、ブルペンに行ったことがないんじゃないか。マウンドとのギャップ。マウンドは試合で見ているので、アドバイスできれば…」。野手出身の監督だけに、投手の領域にこれから踏み込む必要がある。

 Bクラスに転落した直後の秋季キャンプ。チーム再建に向け、猛虎を1度白紙に戻す。49歳新監督の挑戦がいよいよ始まる。【田口真一郎】