広島監督として3度の日本一に輝いた古葉竹識氏(75)が4日、阪神和田豊新監督(49)の日本一にお墨付きを出した。阪神佐野、菊地、中尾スカウトがドラフト4位の東京国際大・伊藤和雄投手(21=坂戸西)の指名あいさつで、東京都内の同大学高田馬場サテライトを訪問。監督として同席した古葉氏は、二遊間経験者の和田監督に名将になる資質があると指摘。「絶対にできる!」と話した。

 広島を率いて4度のリーグ優勝と3度の日本一。あの名将古葉監督が、阪神和田新監督の成功に太鼓判を押した。東京国際大の指揮官として、阪神ドラフト4位・伊藤和の指名あいさつに同席。熱い語りはいつしか伊藤から和田監督への期待に変わり、二遊間経験監督の成功論が飛び出した。

 古葉監督

 野球は特に二遊間が大事です。1球1球戦況を読み、内外野を見渡し、相手ベンチも見て投手にも気を配る。試合前練習から(監督のような目線で)しっかりしないといけないポジションです。きちっとした野球をするのが監督の仕事。二遊間をした人なら分かるんです。(期待は)絶対にできるでしょう!

 古葉監督も現役時代は二遊間で活躍。ポジションがら学んだ緻密(ちみつ)な野球が、指導者となっても大いに生きたという。阪神優勝監督では吉田、岡田の両氏が二遊間経験者。他球団でも8年間で4度リーグ優勝した中日落合監督も二塁を239試合守っている。広島と大洋を率いた古葉監督は85~89年の4年間に現役の阪神和田と対戦。一挙手一投足から、一流監督になるセンスを感じたようだ。

 古葉監督といえば、ベンチ奥の柱から顔が半分出たり隠れたりするシーンが代名詞だった。そこにも、ちゃんとした理由があった。

 古葉監督

 ずっと立っていたのは、細かい動きを逃せないからです。1球もボールから目を離したことはない。少しタイミングが遅れて点を取られたとか、あってはいけない。後ろの端に立ってたのは球場全体が見渡せるから。きちっとした野球をするためですよ。

 ベストはベンチの前より、より視野の広がる後ろ。これも和田監督へのメッセージか。そして指揮官として一番大切な金言も贈った。

 古葉監督

 負けても自分がふんぞり返ってコーチを代える監督がいる。お前こそ辞めろと言いたい。勝ち負けはコーチではなく監督の責任です。起用した選手が打てなかったり、抑えられなかったら信じて使った監督の責任ですよ。コーチや選手に気を使い過ぎず、精いっぱいやってほしい。

 89年を最後にプロ球界を離れ、御年75歳。情熱は衰えを知らず、最後は鉄拳制裁までお願いした。

 古葉監督

 伊藤のことをお願いに行く春のキャンプを楽しみにしていますよ。和田監督にも頼みますよ。ダメだったら伊藤をブチ殴ってほしいとね(笑い)。

 名将の系譜を引き継ぐのが和田豊。教え子のプロ第1号を託すまなざしは、期待でいっぱいだった。【松井清員】